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【TOP】【←prev】【Dreamcast】【next→】 ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 タイトル ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 機種 ドリームキャスト 型番 T-1205M ジャンル 対戦格闘アクション 発売元 カプコン 発売日 1999-11-25 価格 5800円(税別) 【TOP】【←prev】【Dreamcast】【next→】 ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 for Matching Service タイトル ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 for Matching Service ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 フォーマッチングサービス 機種 ドリームキャスト 型番 T-1231M ジャンル 対戦格闘アクション 発売元 カプコン 発売日 2000-10-26 価格 3800円(税別) ジョジョの奇妙な冒険 関連 SFC ジョジョの奇妙な冒険 PS ジョジョの奇妙な冒険 DC ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 for Matching Service 駿河屋で購入 ドリームキャスト ドリームキャスト
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ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース Blu-ray BOX 初回仕様版 Theme Song Best 「Generation」 発売日:10月25日・8月23日 収録話数 全24話収録 組数 4枚組(Blu-ray) 初回仕様版特典 ・原作者・荒木飛呂彦描き下ろし ぬりえポストカード ・特製ケース デジパック ・ブックレット(キャラクター設定ほか) ここを編集 2014年4月放送開始。ジョジョの奇妙な冒険のシリーズ続編。Amazonインスタントビデオが配信開始。 続編に~エジプト編が、過去のOVA版にジョジョの奇妙な冒険 <2000>がある。 http //wwws.warnerbros.co.jp/jojo-animation/ ディレクター 津田尚克 原作 荒木飛呂彦 シリーズディレクター 鈴木健一 チーフ演出 加藤敏幸 シリーズ構成 小林靖子 キャラクターデザイン・総作画監督 小美野雅彦 スタンドデザイン 光田史亮、町田真一 アクション作画監督 光田史亮、片山貴仁(13話~) サブキャラクターデザイン 町田真一 プロップデザイン 宝谷幸稔、杉山了蔵 キーアニメーター 式地幸喜、土屋友次、中屋了 美術監督 吉原俊一郎 美術設定 青木薫、ソエジマヤスフミ 色彩設計 佐藤裕子 撮影監督 山田和弘 3DCGIディレクター 檜垣賢一 レタッチ 入佐芽詠美 背景3Dモデリング 三戸康史 デジタルワークス 工藤かよ 3Dモデリング ソエジマヤスフミ、檜垣賢一 3DCGI ソエジマヤスフミ、檜垣賢一、渡辺藍希 編集 廣瀬清志 編集助手 長谷川舞、梅津朋美 音響監督 岩浪美和 音響効果 小山恭正 ミキサー 山口貴之 録音 岡部直紀 音楽 菅野祐悟 アニメーション制作 david production 脚本 小林靖子 ヤスカワショウゴ 猪爪慎一 ふでやすかずゆき 津田尚克 絵コンテ 津田尚克 加藤敏幸 吉田泰三 鈴木健一 小倉宏文 米田光宏 ソエジマヤスフミ 阿部雅司 大脊戸聡 中原れい 藤本ジ朗 演出 津田尚克 高村雄太 加藤敏幸 藤本ジ朗 鈴木健一 小倉宏文 米田光宏 ソエジマヤスフミ 江副仁美 町谷俊輔 大脊戸聡 玉村仁 山田弘和 吉川志我津 作画監督 小美野雅彦 光田史亮 横山謙次 常盤健太郎 Shin hyung woo 関崎高明 芦谷耕平 石本峻一 三室健太 宝谷幸稔 津熊健徳 伊藤公崇 西村彩 糸井恵 小林亮 森幸子 Choi Hee Eun 山本晃宏 木下由衣 徳田大貴 中屋了 鈴木勘太 成松義人 中澤勇一 斎藤大輔 小田真弓 Lee Eun Yonung 渡邊葉瑠 小谷杏子 小田裕康 橋本英樹 Jang Min-ho Yu Min Zi 渡邊葉瑠 imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (T_.jpg) Amazonインスタントビデオ ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース 1. 悪霊にとりつかれた男 再生時間 0時間23分 初公開日/初回放送日 2014年4月4日 提供 Warner Bros. ▽アニメ!アニメ! インタビュー:テレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」劇伴作家:菅野祐悟 ■関連タイトル ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース Blu-ray BOX 初回仕様版 ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース エジプト編 Blu-ray BOX 初回仕様版 TVアニメ ジョジョの奇妙な冒険 Theme Song Best 「Generation」 Blu-ray ジョジョの奇妙な冒険スターダストクルセイダース Vol.1 第1話絵コンテ集、ラジオCD付初回生産限定版 荒木飛呂彦の漫画術 ラジオCD「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース オラオラジオ! 」Vol.0 ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース O.S.T[Departure] OPテーマ STAND PROUD TVアニメーション ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース Stand Up Guide ジョジョの奇妙な冒険 総集編Blu-rayセット【Amazon.co.jp限定】収納BOX、コメンタリー付き 超像可動 空条承太郎・サード 荒木飛呂彦指定カラー スタチューレジェンド 花京院典明[原型・彩色監修/荒木飛呂彦] 荒木飛呂彦画集 JOJOVELLER完全限定版 Kindle版 原作コミック 荒木飛呂彦/ジョジョの奇妙な冒険 第3部 1 千値練 第3部 イギードアストッパー カラー原稿再現 ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース 総集編 上 荒木飛呂彦画集 JOJO A-GO!GO! JOJO 6251 荒木飛呂彦の世界 超像可動 空条承太郎・セカンド 荒木飛呂彦指定カラー 超像可動 スタープラチナ・サード 荒木飛呂彦指定カラー 超像可動 DIO 荒木飛呂彦指定カラー 超像可動 ザ・ワールド 荒木飛呂彦指定カラー 超像可動 DIO 覚醒版 荒木飛呂彦指定カラー PS3 ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル 初回封入特典 DLコード付き「川尻早人メモ」! 同梱 スタチューレジェンド スタープラチナ セカンド 原型・彩色監修/荒木飛呂彦 スタチューレジェンド DIO 原型・彩色監修/荒木飛呂彦 PS ジョジョの奇妙な冒険 DC ジョジョの奇妙な冒険 未来への遺産 SFC ジョジョの奇妙な冒険 フィギュア・ホビー:ジョジョの奇妙な冒険 原作コミック 荒木飛呂彦/ジョジョの奇妙な冒険 8~17巻 第3部セット 随時更新! pixivFANBOX アニメ@wiki ご支援お待ちしています! ムック本&画集新刊/個人画集新刊/新作Blu-ray単巻/新作Blu-ray DVD-BOX アニメ原画集全リスト スタッフインタビューwebリンク集 最新登録アイテム Blu-ray 魔女見習いをさがして Blu-ray「どうにかなる日々」Blu-ray Happy-Go-Lucky Edition 初回限定生産 Blu-rayDisc付き 『ラブライブ! スーパースター!!』「始まりは君の空」【みんなで叶える物語盤】 BEM~BECOME HUMAN~豪華版Blu-ray Blu-ray 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 10th Anniversary Compact Collection Blu-ray ぐらぶるっ! Blu-ray 映画クレヨンしんちゃん 激突! ラクガキングダムとほぼ四人の勇者 Blu-ray CHRONO CROSS 20th Anniversary Live Tour 2019 RADICAL DREAMERS Yasunori Mitsuda Millennial Fair FINAL at NAKANO SUNPLAZA 2020 ゴブリンスレイヤー Blu-ray BOX 初回生産限定 グリザイア ファントムトリガー THE ANIMATION 03[Blu-ray] 特装版 ラブライブ! サンシャイン!! Saint Snow 1st GIG 〜Welcome to Dazzling White Town〜 Blu-ray Memorial BOX ゾンビランドサガ Blu-ray BOX 初回生産限定盤 Blu-ray 思い、思われ、ふり、ふられ 完全生産限定版 Blu-ray Fate/Grand Carnival 1st Season 完全生産限定版 Blu-ray Fate/Grand Carnival 2nd Season 完全生産限定版 Blu-ray ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII OVA Blu-ray 映画プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日 BD特装版 Blu-ray アズールレーン 三笠大先輩と学ぶ世界の艦船 ぶるーれい Blu-ray 水瀬いのり Inori Minase 5th ANNIVERSARY LIVE Starry Wishes かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~ 22 OVA同梱版 呪術廻戦 公式ファンブック よつばと! 15 監修 庵野秀明・樋口真嗣など 夢のかけら 東宝特撮映画篇 パラレルパラダイス 13 特装版 アイドルマスター ミリオンライブ! Blooming Clover 9 オリジナルCD付き限定版 美樹本晴彦マクロス画集 軌 わだち― 夜ノみつき 10th EUSHULLY WORKS しらこ画集 ILLUSTRATION MAKING VISUAL BOOK カズアキ画集 Kazuaki game artworks ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~ 公式ビジュアルコレクション ぼくたちは勉強ができない 第21巻 音声ドラマ ミニ画集付き同梱版 あいきょう 荻pote作品集 ヒョーゴノスケ流 イラストの描き方 TVアニメ『くまクマ熊ベアー』オフィシャルファンブック 押井守原作・総監督 西村純二監督作品 『ぶらどらぶ』 解体新書公式コンプリートガイド OCTOPATH TRAVELER Design Works THE ART OF OCTOPATH 2016-2020 おそ松さん 3rd season SPECIAL BOOK 描きたい!!を信じる 少年ジャンプがどうしても伝えたいマンガの描き方 YMO1978-2043 「小冊子・YMO全トラックリスト2021 Amazon限定表紙版」付き To LOVEる -とらぶる- ダークネス FIGURE PHOTOGRAPHY COLLECTION 斉藤朱夏 CALENDAR 2021.4-2022.3 ラブライブ! サンシャイン!! Aqours DOME TOUR COMIC ILLUSTRATION BOOK ラブライブ! サンシャイン!! Aqours COMIC ILLUSTRATION BOOK 2020 Winter イジらないで、長瀞さん 10 特装版 「はたらく細胞」公式アニメ完全ガイド リスアニ! Vol.43.2「アイドルマスター」音楽大全 永久保存版VII アイドルマスター シャイニーカラーズ 3 CD付き特装版 ウルトラマンマックス 15年目の証言録 ウルトラマンZ特写写真集 じじぃ 人生は深いな 冴えない彼女の育てかた 深崎暮人画集 上 Flat. ぷよぷよ アートワークコレクション 古谷静佳1st写真集 re START THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER COLLABORATION! Great Journey ウルトラマンゼロ Blu-ray BOX クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 Blu-ray BOX 初回生産限定版 小林さんちのメイドラゴンBlu-ray BOX ゆゆ式Blu-ray BOX スペシャルプライス版 とーとつにエジプト神 Blu-ray 直球表題ロボットアニメ 全話いっき見ブルーレイ 未来ロボ ダルタニアス 一挙見Blu-ray VOL.1 シュヴァルツェスマーケン 全話見Blu-ray ワールドトリガー一挙見Blu‐ray VOL.1 異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 魔王プレイボックス 初回生産限定 トータル・イクリプス 全話見Blu-ray Blu-ray Cutie Honey Universe Complete Edition 夜ノヤッターマン 全話いっき見ブルーレイ こみっくがーるず Blu-ray BOX 初回生産限定 Blu-ray 幼女社長 むじなカンパニーセット 初回生産限定 ログ・ホライズン 円卓崩壊 Blu-ray BOX 七つの大罪 憤怒の審判 Blu-ray BOX I Blu-ray 水樹奈々 NANA ACOUSTIC ONLINE 『Dr.STONE』2nd SEASON Blu-ray BOX【初回生産限定版】 魔術士オーフェンはぐれ旅 キムラック編 Blu‐ray BOX 今井麻美 Winter Live「Flow of time」 - 2019.12.26 at EX THEATER ROPPONGI - Blu-ray盤 Blu-ray 仮面ライダーゼロワン ショートアニメ EVERYONE'S DAILY LIFE 仮面ライダー一挙見Blu-ray 1号 2号・V3編 仮面ライダー一挙見Blu-ray X・アマゾン・ストロンガー編 スーパー戦隊一挙見Blu-ray 1975-1981 スーパー戦隊一挙見Blu-ray 1982-1986 半妖の夜叉姫 Blu-ray Disc BOX 1 完全生産限定版 裏世界ピクニック Blu-ray BOX上巻 初回生産限定 Levius レビウス Blu-ray BOX【期間限定版】 スーパー戦隊 学研の図鑑 江口寿史美人画集 彼女 アニメディスクガイド80's レコード針の音が聴こえる necomi画集 PHONOGRAPHIC フルーツバスケット アニメ2nd season 高屋奈月 Illustrations 2 彼女、お借りします TVアニメ第1期 公式設定資料集 ドラゴンボール 超戦士シールウエハースZ 超シールガイド ガンダムアーカイヴス『ガンダムビルドシリーズ』編 Angel Beats! 天使画集 Angel Diary PANZER FRAULEIN 野上武志画集 【陸編】 Angel's cage るび様画集 Sweet Dream はすね画集 画集 制服Girl's▼コレクション もりょ作品集 異世界ファンタジーのキャラクターコレクション 劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」公式ビジュアルBOOK アイドルマスター シャイニーカラーズ イラストレーション ワークス VOL.2 Blu-rayDisc付き 八十亀ちゃんかんさつにっき 10 特装版 あんさんぶるスターズ! Ready For Star 2巻 缶バッジ付 Switch エーペックスレジェンズ チャンピオンエディション New ポケモンスナップ -Switch 【PS4】BIOHAZARD VILLAGE PLAMAX 聖戦士ダンバイン サーバイン ノンスケール PS製 組み立て式プラスチックモデル スーパーミニプラ 無敵ロボ トライダーG7 3個入りBOX 魔道祖師 前塵編 完全生産限定版 HGUC 機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ Ξガンダム MG 機動戦士ガンダムSEED モビルジン 1/100スケール カンチ 青 ノンスケール ABS&ダイキャスト製 塗装済み完成品 ☆赤ver 魔女の旅々17 ドラマCD付き特装版 クリストファー・ノーランの世界 メイキング・オブ・インターステラー BEYOND TIME AND SPACE 時空を超えて るるぶアズールレーン からかい上手の高木さん15からかいカレンダーカード付き特別版 「武装神姫」原案イラスト集 ALLSTARS 機動戦士ガンダム サンダーボルト 17 キャラクターブック付き限定版 とある科学の超電磁砲T OFFICIAL VISUAL BOOK Aqours 5周年記念アニメーションPV付きシングル「smile smile ship Start!」【BD付】
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ジョジョの奇妙な東方 ~FF・of・fate~ 第五話:亡霊の姫 その? 白玉楼。それは冥界を代表する亡霊の姫「西行寺幽々子」を主とした、全長二百由旬(約1400km)を誇る屋敷である。 そこに向かうには、白玉楼階段と呼ばれる長い階段を登る必要があるのだが、その階段の上で二人の人外が闘っていた。 「ちっ!いい加減、近づいてこの楼観剣の錆になりなさいっ!」 「イヤに決まってるだろうがこのボケッ!」 いや、正確に言えば一人がもう一人から逃げまわっていた。 何故こうなったのかと言えば、原因は数十分程前に遡る。 「この階段を登れば白玉楼につきますよ。」 「うげー。」 「これまた長ぇな…台車も引けそうにないし…。」 文が喜々として(恐らく特ダネの匂いを感知したのだろう)指差した先には、文字通りゴールが見えないほど長い階段があった。 前述だが、水が必要不可欠であるFFやにとりにとって長い階段(運動で水分が飛ぶ+持って行ける水が限られる)はまさしく地獄そのものだ。 「まぁまぁ。白玉楼に着けば水はあるはずですし、主の西行寺幽々子は大抵そこにいますから。」 文の言葉に渋々ながらも登っていく一行。 三十分ほど登っただろうか、文に(無理矢理)持たせた樽の水が少し心もとなくなってきた頃、仁王立ちしているおかっぱ頭の少女に出くわした。 「あ、妖夢さん。お久しぶりですー!」 文が地上に降りて声をかける。少女―妖夢は文の呼びかけには応じず、顔中に笑みを浮かべてFFの方を見て、もとい睨んで口を開いた。 「フー・ファイターズよいうのは貴方の事ですか?」 「あ、あぁ。そうだが・・・?何か私に用か?」 この殺気全開の癖にやたらニッコニコなみょんな相手にFFはたじろぐ。 「大変申し訳ないんですが・・・白玉楼の為に死んでください!」 満面の笑顔で物騒極まりない発言をのたまった直後、妖夢の姿が消え去った! 「喰らえ獄神剣!【業風神閃斬】ッ!」 声だけを頼りにFFはその場に伏せる。直後、FFがいた場所を剣撃と同時に大量の弾幕が通り過ぎる! 弾幕を避けきれずに腕や足に当たってしまった。出血は少なかったが、FFの顔が歪む。 「魂魄妖夢――ッ!襲うのはともかく訳を言え――ッ!」 文の叫びにも耳を貸さない。ただひたすらに刀を振り回すだけだ。 「文ッ!樽の水をよこせッ!水さえあればコイツを倒せるッ!」 「倒さないでー!後が怖いから!」 言いながらも、FFに向けて樽を放り投げる。あと数十cmで届くかと思われたとき、妖夢が間に割り込んだ! 「野暮なことは無しにして貰おうッ!」 叫ぶや否や、飛んできた樽を思いっきり文の方へ蹴り返す! 「見えたッ!妖夢は縞パn・・・って危な・・・」 幾ら幻想卿催促とはいえ、文は所詮4ボスでしかない天狗である。 ドシュゥッ!という音を立てて飛んできた樽に反応できずに樽の直撃を受け、きりもみ回転しながら階段から落下していった。 「文ァァァァァッ!」 「にとり!文のところへ行ってやってくれ!私は大丈夫だから!」 妖夢の剣撃から逃げ回りながらFFは、にとりに指示をだす。妖怪の体の強さはわからないが、無事ではすまないだろう。 「けどFFはッ!水がないのにどうするつもりッ!?」 「何とかするッ!だから早く行けぇッ!」 FFの言葉に少し迷った後、にとりは階段を一目散に駆け下りていった。 「有難いですね。自ら【背水の陣】になってくれるとは・・・」 妖夢は相変わらずの笑顔で言う。その言葉には余裕すら感じられる。気に入らないが、確かにこちらには余裕などというものは全くない。 「一人で【陣】も糞もないような気がするが・・・」 妖夢の言葉に軽口で返す。さっきの攻撃で自分の体の水分が残り少ないことがわかってしまった。恐らく、持って一時間といったところか。 「改めて名乗らせていただきます。我が名は魂魄妖夢!我が台所事情のため、貴方に決闘を申し込みます!」 刀をしまい、直立不動の姿勢で言い放つ。 「ふん、名乗られたならこちらも名乗るのが礼儀ってやつだよなぁー。私はフー・ファイターズ!我が友、射名丸文の無念を晴らすため、この決闘、受けさせていただくッ!」 名を名乗り、刑務所のTVで見たポーズ(右手を顔の前にかざし、左腕を身体の横で伸ばした姿勢)を取る。 まだ文は死んでいないとか、そもそも何が無念なのかとかいう突っ込みはしてはいけない。 「「よろしくお願い申し上げます。」」 そして二人同時に頭を下げる。ここに幻想卿至上、最もどうでもいい理由での【決闘】が始まったッ! 一方、転がり落ちた文はというと。 「痛つつつ・・・カメラ、OK。メモ帳、大丈夫。ボールペンは・・・げ、折れてる。」 しこたま打ち付けた腰をさすりながら自分の持ち物の安否を確かめていた。 「にしても、いつにも増して気合入ってましたねぇ。何か交換条件でもあったんでしょうか・・・」 あれだけの高さを転がり落ちておきながら、腰を痛めただけというのは腐っても妖怪である、ということか。 「むー。また買ってこなきゃ・・・結構気に入ってたのにー。」 「あ、いた!文ー!大丈夫!?」 上からにとりが駆け下りてくる。にとりの性格上、恐らくFFに言われてきたのだろう。 「大丈夫大丈夫。腰を痛めただけでたいした怪我はしてないわ。FFは?」 「戦ってる。早く下にある樽を持ってかないと!」 焦るにとり。何をそんなに切羽詰っているのだろうか? 「何でそんなに焦ってるのにとり?さっきもちゃんと剣撃見切ってたじゃないの。そりゃ、弾幕にはちょっと当たってたみたいだけどさ。」 「FFにとって危険なのは【弾幕を見切れない事】じゃない!いいッ!?【出血が少ない事】が重要なの!」 寧ろあの時、血が噴出していればにとりもここまで焦ることもなかっただろう。FFはどちらかといえば、自分のような河童に近い生き物だろうとにとりは思っている。普通の人間と違って、汗や血など、【身体から水が出なくなること】は命取りなのだ。 しかし、文はその説明を聞いてもFFが負けるなどとは微塵も思っていなかった。FFの特徴と、【この場所】がどういうところか知っている彼女には【負けるなどという】選択肢は存在しないのだ。 「ねぇ、にとり。FFって【下にある樽を持って来い】って言った?」 「言ってないわ!けど水がないとッ!もうきっと一時間も持たないッ!」 「なら大丈夫よ。FFが水を要求していないってことは【気づいた】んだと私は分析するわ。なら、彼女は勝てる。」 自分が山から転げ落ちたのに無事だった理由。それはFFを助ける何よりの【武器】となる。 「ここなら【いくらでもあるものね】。【水なら】。」 白玉楼。彼女達が向かう予定であるその場所では、すでに二人の女性がお茶をすすっていた。 「にしても、妖夢をその気にさせるなんて、ね。ひょっとして、【あの異変】の時よりやる気で照るんじゃない?」 「そうかしらー?うーん・・・あの子に勝てたら一日のご飯の量5キロに減らすって言ったのが効いたのかしら・・・?」 「いつもながらどんな食生活送ってるの貴方・・・。まぁ、妖夢くらいには勝てないと意味がないんだけどね。【あれを防ぐには】・・・」 「そうね。私たち【幻想になった者】では解決できないものね・・・口惜しいけど・・・」 片方の女性が唇を噛む。それを横目で見つつ、もう片方の女性が安心させるようにお茶を啜りながら言う。 「まぁ、あの宇宙人のお陰で時間の境界を弄れてるから。まだ猶予はあるわ。だから【死者の呼び出し】、お願いね。幽々子。」 前へ 目次へ 続き
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『東方オラオラ化計画!!』 注意 関係のない他の動画にまで持ち出すのは止めましょう。特にケイオス版など。 あらすじ 『mugenに新たに現れた影咲夜のカオスでフリーダムな冒険が今始まる!!』 解説 主人公の影咲夜を中心として運命は動き始める・・・が、当の本人にはその自覚はまったく無い 実はストーリーパートが終わった後に入るうp主と咲夜による動画解説が本編なのではないかと言う噂があるが真相は定かではないw ストーリーの進行と同時にキャラの更新を行っていく方式 コメントで意見も募集していて試聴者のリクエストや質問に答えたりする事もある 数ヶ月の間更新がなかったが12月1日、遂に復活 まさかの新製作キャラを引っさげての更新であった 登場人物 + 一覧 主人公 影咲夜 どせいさん 影DIO レミリア 学友 前原圭一 色承狂介 メガマリ イングリッド 相良宗介 教師 スザク先生 絶校長なセル その他 妖夢(withシルバーチャリオッツ) ポルナレフ 妹紅(withマジシャンズ・レッド) 美鈴 不良に絡まれてた一般人 不良 【ニコニコ動画】咲夜の奇妙な冒険 最近の更新で益々影DIOっぽさが出てきたね -- 名無しさん (2008-07-13 12 09 12) 待ちに待ったうp主が新キャラを引っさげて帰ってきたぞ!!うれしい限りだ -- 名無しさん (2008-12-01 19 23 10) この新キャラは非常に期待したい -- 名無しさん (2008-12-01 21 12 37) おー帰ってきたのかうp主。 -- 名無しさん (2008-12-01 21 32 19) 妹紅公開したばっかりなのに早すぎんだろうp主wwww -- 名無しさん (2008-12-01 21 45 36) このうp主SUGEEEEE!!!! -- 名無しさん (2008-12-01 21 52 14) うp主やる気ありすぎだろwww途中で倒れないよう気をつけてなー。 -- 名無しさん (2008-12-01 22 11 25) っていうか帰ってきてくれただけでうれしいよ -- 名無しさん (2008-12-01 22 25 13) もうすぐ2ヶ月か。やっぱりストーリーを考えつつ2キャラ同時に作るのってすごく大変なんだな -- 名無しさん (2009-01-28 14 54 47) 妖夢チャリオッツはしっかり製作進行してるらしいよ。 -- 名無しさん (2009-01-28 23 20 10) ジョジョ総合スレの過去の書き込みによると妖夢+チャリオッツの組み合わせで作ってる人がもう一人いるらしい -- 名無しさん (2009-01-29 22 12 08) 製作スレにいるよ。 -- 名無しさん (2009-01-29 23 29 05) 気がつけば、もう半年以上が過ぎていた……か -- 名無しさん (2009-06-11 18 50 33) まさかとは思うがドラクロの作者みたいに、なんてことはないよな? -- 名無しさん (2009-06-11 20 21 45) 失踪タグ付くかな… -- 名無しさん (2011-01-24 18 53 31) 最終投稿2年前か -- 名無しさん (2011-01-24 22 39 38) 同名の新作が来たが -- 名無しさん (2011-03-25 23 47 11) 名前 コメント
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バイオレットと奇妙な世界 【ばいおれっとときみょうなせかい】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 Nintendo Switch メディア ダウンロード 発売元/開発元 Forever Entertainment 発売日 2019年12月19日 定価 999円 プレイ人数 1人 セーブデータ 20個 レーティング CERO A(全年齢対象) 判定 ゲームバランスが不安定 ポイント ひらめきが通用せず、先に進むための方法も説明されないアイテムの見逃しで詰みやすい 概要 システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 概要 ポーランドで開発された脱出アドベンチャーゲーム。 元は2013年12月にiOS/MacOS/Windows/Linuxでリリースされた『Violett』(*1)で、その後MacOS/Windows/Linux版は2015年7月に大幅なアップデートが施された『Violett Remastered』として現在配信されている。Switch版はこの『~Remastered』をベースに移植したもので、海外では『~Remastered』のXboxOne/Xbox Series/PS4版も配信されている。 人里離れた不気味な家に引っ越すことになったバイオレットは、これから起こるであろう退屈に憂鬱になっていたのもつかの間、ネズミの穴に光る火花に気がつく。恐る恐る中に入ってみると、そこは現実世界と全く違う場所。現実を超えた不思議な出来事に満ちた世界を冒険し、無事に家に戻ることが出来るだろうか・・・。 奇妙な異世界のデザインは、「不思議の国のアリス」やスペインの画家である「サルバドール・ダリ」から影響を受けている。 システム ゲームの流れ 主人公のバイオレットを操作し、異世界からの脱出を目指す。 舞台となる異世界は、いくつかの部屋に分かれた構造をしており、原則はアイテムを調べたり集めたり、マップ中のギミックを正しく操作する。 先に進むためには、仕掛けをいじって特定の状態にしたり、そこにいる生き物の願いをかなえてあげたりする必要がある。 生き物との会話は「イラストと吹き出し」で行われ文章は一切登場しない。相手の生き物が表示したイラストと同じアイテムを持っていったり、部屋のギミックをとある状態にすることで願いをかなえたことになる。 序盤はとある部屋の奥に隠されているブレスレットの破片のようなものを3つ集めることが目標となる。 中盤以降は、さらに先に進み、ブレスレットにはめ込まれた3つの宝玉を活性化することが目標になる。 これらの過程で短い距離だけ空を飛べるようになったり、植物を成長させたり、火の中をくぐれるような能力も身につけられる。 最終盤では、ボスとシューティングゲームで争い倒すことになる。 ブレスレットに表示されるゲージのどれかひとつが0になると、ボス戦の直前からやり直し。Aボタンで溜めた火炎弾をボスに4回直撃させると勝利。ボスの攻撃を受けたり、火炎弾を放つことでゲージが低下していく。 その他、ゲージを消費して盾となる植物をはやしたりも出来る。 ゲージの量は各部屋に散らばっている、青・水色・緑色の宝玉を集めることで強化することができる。 コントローラ、画面のタッチのいずれでも操作可能。 「-(マイナス)」ボタンで、調べることが可能な物体・キャラを一括で目印をつけられる。 移動・調査 左スティックで移動。またSwitchの画面をタッチすると、そこまで自動で追従してくる。 右スティックで矢印型のアイコンを動かし、そのアイコンが足のマークになっているところでAボタンを押しても、バイオレットがその足のアイコンに向かって自動で歩いてくる。 生き物に話しかけるには近くにまで歩いていく必要がある。またAボタンではなくYボタンでないと会話できない場合がある。 アイテム その場で動かすだけのアイテムと、かばんにしまって別の部屋で使うアイテムの二つのパターンがある。 かばんに入れられるアイテムの量に特に制限はない。かばんはXボタンを押すか、右上のかばんのアイコンをタッチすることで開ける。 アイテムに干渉するにはある程度近づいている必要があるが、離れたアイテムを取得したり操作することも場合によっては可能。 アイテムは、持っているだけで然るべきタイミングで効果発揮するもの、特定の場所でかばんから出して使わなくてはならないものがある。 アイテムをかばんから出して使う場合、かばんを開いてアイテム一覧を表示し、そこから目的のアイテムをドラッグの要領で目的の場所に持ってくるという操作が必要。 ヒント 各部屋につき、画面右下に4段階まで表示されるヒントが用意されている。 使用することでのペナルティはなく、オプションで非表示にする(使わない)ことも可能。 その他 ラスボス戦を除いてはダメージを与えてくるギミックは存在せず、制限時間やゲームオーバーの条件はとくにない。 コレクション要素として、各部屋で1~2枚、ノートのページを拾うことがある。ノートのページには不思議な世界に住む生き物に関するフレーバーテキストが書かれており、メインメニューの日記から今まで集めたものを閲覧可能である。 評価点 異世界のデザイン 知的な活動を行う昆虫たち、オペラを歌うカエルといった異世界らしさ満載のキャラクターが登場する。メインメニューから見られる日記(フレーバーテキスト)にも力は入っている。 一部、ガイドが丁寧な部分 しかるべきタイミングにさしかかると押すべきボタンを常に表示してくれるので、咄嗟の操作方法が判らなくなる自体は軽減されている。 タッチ操作、ボタン操作の両方に対応している。 ボリュームはなかなかにある。 賛否両論点 バタくさいキャラデザイン 不思議な異世界のデザインは、写実的で不思議ではあるがどこかグロテスクでもある。 爬虫類や昆虫、無脊椎動物をモチーフとしたキャラクターが多く、バイオレットのキャラデザも、日本では万人に受けないであろう類のもの。 テイストとしては『バンジョーとカズーイの大冒険』のグランチルダのようなイメージ。 BGMの主張が強い こちらを悩ませ焦らせるような類のBGMである。印象には残るがパズルを淡々とこなすには邪魔か。 セーブシステムについて どこでもセーブできて便利なのだが、セーブすると必ずメインメニューに戻されてしまう。 問題点 ゲームの攻略に関して 脱出ゲームの仕様ともいうべき問題かもしれないが、先に進むには何をすべきなのか、クリアするには何をすべきなのか説明してくれない。 舞台が異世界だからか、ギミックや登場人物が考えていることも常識から外れていることが多い。何がどうなって、何故先に進めるようになるのか分からないケースが多い。それでいて、先に進むために必要な行動を答えとして閲覧できる機能がほぼない。画面右下のヒントで答えを教えてくれることはあるが、すべて答えで見られるとは限らず、本当の意味で詰んだら正しい答えが出るまであてずっぽうするしかない。 例としては、蒸気を吹き付けて邪魔してくるポットの気をそらすために蝿を蜜で誘導して巨大なビンに閉じ込める必要があったり、水が流れる樋を特にいわれもなく逆流させると先に進む道が開けたり等。 ヒントなしでもプレイできるかというとそうとも限らない。特定の蛇口を特定の箇所にひねる、本に浮かび上がる模様を特定の順番で押す、といった動作が求められる一幕があるが、ヒントをみないと100通り程度ある試行をこれまたあてずっぽうするしかない。 少しのアイテムを見逃しても行き詰る可能性が高い。部屋を先に進むには、別の部屋からアイテムを拾ってきている必要がある場合もある。ささやかな場所に隠してあったりするので見逃しやすい。 部屋にも2種類あり、さらに奥の部屋に進むことが目的の部屋、システムで挙げたブレスレットの活性化に関係する部屋(=行き止まりの部屋)の2種類がある。後者が行き止まりだということも当然説明してくれないので、さらに先に進むための方法を無駄に考えてしまう事態もありうる。 そもそもの話、ブレスレットのかけら集めや活性化に関しても、ゲーム中の目的としてはっきり明示してくれず、プレイヤー側がゲームの雰囲気から察する必要がある。 ブレスレット関連で、何かしらをとり逃したりやり逃したりすると、緑色の芋虫のおじさんがいる部屋から先に進めないのだが、そもそもブレスレットが先に進むフラグになっていることに気づけないケースも考えられる。 以上のことから、クリアするために攻略サイトやyoutubeのプレイ動画を覗いたプレイヤーも多いのではないだろうか。 ボスの存在も唐突。いままでフラグがあってチラチラと出ていたのではなく本当に急に出てくる。なぜ倒さなくてはならないのかといった疑問を挟む余地を与えてくれない。ゲーム性も急にシューティングゲーに変わるので困惑必至。 ヒントの仕様 画面右下にある4段階のヒントがなぜか数秒間しか表示されない。理解するのに時間のかかるイラストがヒントになっていることもあるが、やはり数秒間しか表示されない。 「-(マイナス)ボタン」によるヒントも数秒間の表示にとどまっている。 位置関係の管理が雑 大抵の物体は、バイオレットがかなり離れていた状態でも干渉できる。一方でバイオレットが指定された位置に立っていないと干渉できないような物体も一定の割合存在する。その2パターンの間で何が違うのかもはっきりしない。 ゲームを進めていくと空を飛べるようになるが、その能力を使ってどこでもいけるというわけではなく、ゲームの都合上指定された範囲しかいけない。 不具合など 左スティックでバイオレットを操作しづらい。バイオレットのフットワーク自体がもっさりしているのもあるが、攻略しているマップによっては、入力に反してあらぬ方向にいってしまったり。そのためSwitch画面をタッチして、バイオレットを逐一導いていったほうがミスは少ない。 別の部屋に移動しようとした際、バグでマップが切り替わらないことがある。こちらもボタンではなくタッチ操作することでバグが起こりにくくなる。 総評 洋ゲー特有のバタくさいデザイン、少し奇妙でグロテスクな世界観が特徴で人を選びうる。それだけでなく特にゲームを先に進めるうえで必要な説明がかなり省略されているので、クリアするのがなかなか大変なゲームとなっている。そのため奇妙な世界から脱出するために、時にはノーヒントで常識をかなぐりすてた解法を思いついて先に進んでいかなくてはならない。
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ジョジョの奇妙な東方 ~FF・of・fate~ 第6話:亡霊の姫 その? 「喰らえッ!FF弾ッ!」 戦いの口火を切ったのはFFだった。先手必勝とばかりに人差し指を妖夢に向ける。 彼女自身(フー・ファイターズそのもの)の一部を飛ばし、ブチ当てるというシンプルな技だ。しかし、それ故にスピードもあり、並の相手なら何をしたか理解される前に倒すことが出来るほどの威力も併せ持つ。 しかし【幻想卿】においては、それは当たり前のことなのだった。 「早いですね・・・弾のスピードだけなら文や魔理沙にも匹敵するでしょうね。しかしッ!」 そして妖夢もまた、【そういう飛び道具】は【見慣れて】いた。 「この【幻想卿】ではッ!揉め事は全て【弾幕ごっこ】にて解決するッ!そんな生っちょろい弾幕など意味をなさないッ!餓鬼剣!【餓鬼道草神】ッ!」 妖夢の周囲に桜の花びらに似た幻影が舞う。直後。先ほどと同じようにまるで紙に消しゴムをかけたかのように妖夢が消え去ったッ! 「私に同じ手が通用すると思ってんじゃねーぞッ!辻斬り女ッ!」 すでに見切っていたFFはその軌道を読み、妖夢がいる方へ無数のFF弾を放つ。しかし、妖夢は軽くステップを踏んだだけででそれらを回避する。 「言った筈ですフー・ファイターズ!貴方の生っちょろい弾幕など意味をなさないとッ!それに私の攻撃は【まだ】、【終わっていない】ッ!」 「何ッ!?」 FFが思わず妖夢が先ほどまで見ていた場所を見る。 「何だとおおおおおおおおおおおおお!?」 軌道上に無数の青い弾が浮かんでいたッ!回避は、不可能ッ! ドバシャァァッ! 大きな音を立てて、吹っ飛ばされるFF。辛うじて致命傷こそ避けたものの、水分をかなり消耗してしまった。もう、無駄なFF弾を撃つことは出来ない。 「我が楼観剣に斬れぬものなどあんまりないッ!フー・ファイターズ!大人しく私に倒されて貰おうかッ!」 「ふん、まだ勝負がついていないのに、か?」 挑発しつつ、FFは考える。倒し方はわかっている。ケンゾージジイと戦った時と同様だ。 【鏡】を作り、自分のいる位置を錯覚させさえすれば、妖夢を叩くチャンスは生まれる。更にそれに必要な【水の在り処】も【わかっている】。 問題なのは、【気づかれないように】【出来る限り迅速に】水を集めることだ。 「やれやれだな・・・」 FFはにやりと笑って呟く。【素早く水を集める】【妖夢に気づかれない】、両方やらなきゃいけないのが【この作戦】の辛いところか。 「覚悟はいいか?魂魄妖夢。私は出来てる。」 「何のことです?」 妖夢がいぶかしげな顔で聞き返す。この様子なら大丈夫だろう。あとは細工をするだけだ。 「私に【倒される】覚悟のことだよ。」 言い放った後、FFはピストルの形になった人差し指を妖夢へ突きつけた! 「あらあら、なんだか負けそうよ?あの子。」 「うーん、みょんがあそこまでやる気になってるしねぇ。ちょっと計算外だったかしら?」 空間の裂け目のようなものに映ったFFと妖夢の様子を見ながら白玉楼で二人の女性が話している。見た感じでは、完全に妖夢が押している。しかし、FFの方は諦めるどころか目の輝きが益々鋭くなっていた。 「困ったわー。毎日5キロしかゴハン食べられなくなっちゃったら、毎日あの夜雀の所にいかなきゃいけなくなっちゃう・・・」 「念のため言っとくけどミスティアは非常食であって主食にはならないわよ・・・?」 「そうねー。小骨が多いし、出来れば非常食くらいであって欲しいわー。」 みすちーが聞いたら泣いて人里へ逃げていきそうな会話である。 「けど、何を企んでるのかしらね?あのFFって子は。」 「あの目・・・負けそうな人間の目ではないわよねぇ・・・」 「これが【弱きもの】の力なのかしらね・・・それとも【ジョースターを助けるもの】の持つ能力なのか・・・」 妖夢は少しイライラし始めていた。短気なのはよくないという事はわかってはいるのだが、今回ばかりは認めて欲しいものだ、と言い訳がましく思ったりもしていた。 (く・・・何を考えている?フー・ファイターズ・・・さっきから逃げてばっかりで・・・) 最初にFF弾を何発か撃ってきた後はずっと逃げてばかりいる。直撃こそ避けているものの、FFの体はすでに戦闘不能の域に近い。にもかかわらず攻撃することもなければ降参することもない。ただひたすらに逃げ回っているだけだ。 「ちっ!いい加減、近づいてこの楼観剣の錆になりなさいっ!」 「イヤに決まってるだろうがこのボケッ!」 いいながらも妖夢から距離を離す。このまま弾幕を張っていれば勝手に倒れてくれるだろうが、それではこちらの気がすまない。 「あぁ、もお!めんどくさいッ!」 妖夢はとうとう堪忍袋の尾を切らし、短刀【白楼剣】を抜き、左手に持つ。 「切り裂かれなさいッ!人鬼ッ!【未来永劫斬】ッ!」 叫ぶや否や、思いっきり踏み込んだ妖夢はFFに突っ込んでいく!普通の敵なら突っ込んできた敵を見たら左右に避けるか後ろに下がろうとするだろう。妖夢自身、そう思って追加の弾幕の準備をしていた。 しかし、こともあろうにFFは。 【逆に思いっきり突っ込んできた!】 「ッ!?愚かなッ!そのまま斬られなさいッ!」 突っ込んで行けば、それに驚いた自分が間合いを見誤るとでも思ったのだろうか。だとしたら、とんだ思い違いだ。確かに驚きはしたが、半人半霊はそんなことではうろたえないィッ! 気合一閃!FFは二振りの剣に切り裂かれた!はずだった。 「手ごたえが・・・ないッ!?」 「やっと・・・突っ込んできやがったな。」 真後ろからした声に驚く。振り向こうとしたが、背中に指のようなものが当たる。 「この距離ならハズさねぇぜ。やれやれ・・・ホントは二度とこんなことやりたくなかったんだがな・・・」 「幻影・・・いや、鏡かッ!?何時の間に!?」 妖夢が切り裂いたのはFFが水から作り出した鏡だったのだ。しかし、水はどこから取ってきたのだろうか?妖夢自身、FFから片時も目を離さなかったというのに! どこから水を取ってきたのかを聞こうとした矢先、妖夢の目の前に茶色くなった何かがひらひらと舞い降りてきた。それを呼び水とするかのように、妖夢の目の前が茶色一色となったのだ! 「これは・・・枯れ葉ッ!?」 そう。妖夢が見た茶色い【何か】は、目の前の木から落ちてくる無数の枯れ葉だった。よく見ると、枯れ葉が落ちてくる木はカラカラに乾いており、今にもポキリと折れそうなほど細くなっていた。 「よくよく考えたらさぁー。ここは【山】になってるんだから、水なんて【いくらでもあった】んだよなぁー。木ってーのはよぉー。水を【地面から水を吸って生きてる】んだよなぁ。ポンプみてぇにさぁ。」 「さっきの弾・・・あれは私を狙ったんじゃなくて・・・」 「【木】を狙ったんだぜ。FF弾も私自身だからな。」 FF弾となるフー・ファイターズが死なない程度にスピードを落として、木に撃ち込んだのだ。木の中で増殖したフー・ファイターズは、木に含まれる全ての水分を使って巨大な【鏡】を作り出す。そして、待ったのだ。自分と【鏡】と妖夢が一直線に並ぶその時を。 「なるほど・・・。しかし、それで勝ったと思って頂いても困るんですよ。」 妖夢がにこやかに告げた瞬間、妖夢の体が白い塊のようなものに変化した!そして、FFのすぐ後ろでチャキっという音がする。白い塊はFFをすり抜け、後ろへと下がっていった。 「なるほど・・・囮を使ったのは私だけじゃぁねェってことか・・・」 「えぇ。言い忘れてましたが、私は半分人間で半分幽霊なんですよ。貴方が私だと思っていたのは半身といって、【幽霊側の私】なんです。すみませんね。」 「やれやれ・・・こりゃあ・・・負けた、かな?」 「えぇ。負け、ですね。しかし、いい勝負でした。このまま終わってしまうことが惜しいくらいに。」 そして、剣は、振り下ろされたッ! 前へ 目次へ 続き
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反省する使い魔! 第十三話「土の略奪●雷鳴の起動」 「ねぇタバサ、あなたはどう思う?」 「………?」 食事を終え、ルイズに付き添って医務室にいるキュルケとタバサ。 メイジの女医師に音石からもらった金を支払い、 治療をしてもらっているルイズの後ろで キュルケがタバサの耳元で、ルイズに聞こえないように呟いた。 「……何が?」 「オトイシの『アレ』の事よ」 『アレ』とは言うまでもなく 『レッド・ホット・チリ・ペッパー』のことである。 「彼の能力のこと?」 「そうよ、あたりまえでしょ? あららァ~、それともなにィ?もしかして変の意味で考えちゃったァ~?」 「………あなたと一緒にしないでほしい」 「ふふっ、それもそうね。そう睨まないで頂戴 それで、どう思う?」 「………どう、とは?」 「なんでもいいのよ、いろいろと疑問はあるでしょ? いくつか聞かせてくれるだけでいいの、 わたしも考えたんだけどさァ~、 いろいろと疑問が多すぎて逆にサッパリなのよ」 ある意味キュルケらしいとタバサは思った。 次にタバサの口から小さくやれやれと溜め息が出る、 なんでもかんでも自分に意見を求めるのはキュルケの悪い癖だ。 でもそれはそれでキュルケらしいと、妙に納得もいった。 そしてそんな親友キュルケの為に、頭の中で疑問点をまとめる。 「彼は……ただの平民じゃない」 「そりゃそうよ、あんな強い亜人を操れる彼が 『ただ』の平民だったら、私たちメイジの立場がないわ! あ……でも、それならあの亜人は一体何なのかしら? やっぱり、あのギターって楽器がマジックアイテムになってるのかしら?」 「………たぶん、ちがう」 「どうしてそう言い切れるの?」 「正直言うとこれは勘。でも少しだけ思い当たるところはある。 以前彼自身もマジックアイテムを使っていると言っていた でもあれはたぶん嘘、態度があまりにも素っ気無かったし それに彼が『能力の正体がマジックアイテムを使っている』と すんなり答えたところがとてもひっかかる」 「…確かに、彼の性格から考えてそんなに自分の能力の秘密を すんなり他人に教えるなんて奇妙で不気味ね…… でもじゃあそれって………」 キュルケが顎に手をあてて考える仕草をとる。 そしてそんなキュルケの考えを予想できたタバサは 彼女のために結論を口にした。 「あれは……マジックアイテムとも……魔法ともまるで違う わたしたちの常識を遥かに超越したナニか」 「……もしかして、未知の先住魔法とか?」 「それも考えにくい、彼はエルフには見えないし そもそもあの亜人には、魔力の流れを感じなかった」 「そう…よね…、ギーシュとの決闘のときは 距離があったからわからなかったけど、 昨日の戦いでは彼と彼の亜人のすぐ傍に私いたけど そんな感じ全然しなかったわ………」 なにやら更なる疑問が増えてしまった気がして、 キュルケは両手でわしゃわしゃと頭を掻き回した。 「あァーーもうッ!わっかんないわねぇ!! 一体彼って何者なのよ!!」 「病室では静かに!!」 (まったく、仮にも貴族がなにやってんだか…) 後ろで突然叫んだことで、医務室の専属メイジに 元気よく怒鳴り怒られたキュルケにルイズは胸の中で溜め息をついた。 【ガチャリ】「失礼します」 するとキュルケたちのさらに後ろで、 医務室の扉が開く音と同じくしてモンモランシーが入ってきた。 「あら、モンモランシーじゃないの 一体どうしたのよ?熱でもあるの?」 「はァ?な、なんでそうなるのよ?」 キュルケの挨拶に続いた質問にモンモランシーは首を傾げた。 しかしキュルケは別に皮肉で言っているわけじゃない。 本当にモンモランシーを心配して質問したのだ。 なぜなら………、 「だって…あなた顔すっごい赤いわよ?」 「え、ええぇッ!!?」 モンモランシーはすぐさま両側の頬っぺたに手を当てた。 ………熱い、とても熱い。熱と勘違いされて当然の熱さ。 原因はわかってる、わかってはいるけど…… まさかここまで自分は顔を紅くしているとは思わなかった。 そんな自分の顔をルイズたちがまっすぐ見ている。 実際は純粋にクラスメイトを心配している視線なのだが、 モンモランシーはそんな視線をとても直視できなかった。 「ちょ、ちょっと!ひ、ひ、人の顔をまじまじ見ないでよ!?」 くるり、っとモンモランシーは顔を隠すために体ごと後ろを向いた。 しかしそこに最高のタイミングで…………、 【ガチャリッ】「よー、ルイズいるかァ?」 「キャアアアアアアアアァァァァァッ!!!??」 「おわァッ!!?」【ビックゥッ】 原因である男、音石明が入ってきた。 モンモランシーの壮大な絶叫が鳴り響く。 当然この後、医務室専属メイジに 「病室では静かにッ!!!」 とキュルケと同じように怒鳴られたのは言うまでもない。 まあこの医務室専属メイジ自身もけっこう大概のような気もするが……… 「てめぇ一体どういうつもりだァ? 俺が日頃大音量に慣れてるギタリストじゃなかったら 今頃耳の鼓膜がブチ破れてるぜ!」 「あ、あなたがいきなり現れるからいけないんでしょう!?」 「てめぇの頭は間抜けかァ? ついさっきまで一緒にここまで来たんだから当たり前だろーが!!」 また怒鳴られないために結構セーブした声で音石がモンモランシーに抗議する。 ついでに言うとこの医務室は貴族専門で、 給仕以外の平民は立ち入り禁止されている。 その証拠として、医務室専属メイジに怒鳴られた後 「ここは平民の立ち入りは禁止よ!」と睨まれたが ルイズの計らいのおかげで、 今は問題なく医務室内でモンモランシーに講義できている。 そんなドアの前の二人のやり取りに、キュルケとルイズは意外そうな顔をした。 毎度のコトながら、そんなキュルケとルイズに対して タバサはいつものように本を読んでおり、 モンモランシーの絶叫の際も一切動じなかった。 「あの二人、いつの間にあんなに仲良くなったのかしら?」 キュルケの口から当たり前の疑問がこぼれた。 まあ無理もない、はたから見れば実に奇妙な光景だ、 外見的にも十分奇妙。 顔に古傷を持ち、学院の女子生徒にも引きを取らない長髪の男。 ロールヘアーと大きなリボンとロール頭が特徴的な少女。 絵になってるようでなってないような組み合わせだ。 当然外見だけじゃない、その人間関係的にも実に奇妙。 方や不思議な能力を使い、この学院の生徒一人を半殺しにし、 生徒たちの間でお尋ね者扱いされているなぞが多い男。 方やその半殺しにされた生徒の恋人関係にあった香水の少女。 『奇妙』、実にシンプルにひと言である。 そんなひと言が、この二人にはとてもよく似合っていた。 「で?ふたりして一体何しに来たのよ? しかもオトイシ!なんであんたがモンモランシーと一緒にいんのよ!?」 「治療してもらったばっかなんだろルイズ? 傷が治ってすぐにそうカッカすんなよ、気分がダルくなるぞ?」 (誰のせいだと思って………!!) ルイズが心の中ではき捨てた。 彼女からしてみれば、自分の使い魔が よその女の子(しかもクラスメイト)と仲良くしているのは あまりいい気分ではない。 普段こういう感情の対象はキュルケだと相場が決まっているが、 とうの本人は奇妙な事に音石に対して そういうアプローチは今のところ一切していない。 おそらく二日前、音石がキュルケの部屋から出てきたあのとき 自分の知らないなにかがあったのだろう…… 少なからず、キュルケを人間的に変えるなにかが……。 「でもまあ勘違いすんなよルイズ おれはお前らが医務室にいると思って様子見に来たんだよ でも肝心の医務室の場所がわかんなかったんだが そこをこいつが親切に案内してくれたっつ~なりゆきよ~」 「そういうことよ、変な勘違いしないでよね まったく、これだから『ゼロ』のルイズは……」 「だれが『ゼロ』よ!!」 「たくっ、お前ら二人そろってカッカしてんじゃねぇ! また怒鳴られちまうだろうがッ!! まったく、ルイズの性格考えて、変な勘違いして怒らねぇように わざわざわかりやすく簡潔に説明してやったってのによぉーー、 これじゃ無駄骨もいいとこだぜ……… モンモランシー!頼むからルイズをしょうもねぇことで 怒らせんのはやめてくれ、ルイズが怒りのまま爆発起こして その後片付けっつー二次被害受けんのは俺なんだぞ!? ルイズもルイズだぜぇ~?いちいち相手の挑発にのるようじゃ 周りが見えなくなって、おまえ自身が一番損する羽目になるぜぇ?」 「「…………………う~~…」」 ルイズとモンモランシーは小さな唸り声をあげる。 (普段の俺ならこういううっとおしい状況はとりあえずギター響かせて 押し黙らせるんだが……、まあ場所が場所だしな… てゆーかよ~、他人に説教すること自体俺らしくもねぇな 他人に説教できるほど立派な人間ってわけでもねぇぞ俺) いろいろと呆れた仕草を音石は髪を掻くことで表した。 「そうよ、よく考えてみればこんなことしてる場合じゃないわ! え~~とっ【ガチャリッ】……………あれ?」 モンモランシーがルイズたちを通り過ぎると、 医務室に設置されてあるいくつかの扉のうち、 手前から二番目の扉を開いた。しかしその扉の先には、 窓から太陽の光に照らされた高級そうなベッドや 棚などの家具が置いてあるだけで そのベッドにもその部屋にもだれもいなかった。 (さすが貴族の学校の医務室だぜ この医務室だけでもこんなに豪華な個室が設置されているとは。 個室ひとつひとつがまるで高級ホテルの宿泊部屋だぜ、 なんだってたかが医務室にこんな無駄な作りするかねぇ~~~) 音石がその無駄に豪華な医療用個室にも呆れるが モンモランシーはなぜか少し混乱していた。 しかし、モンモランシーのその混乱の正体を察した 医療室専属メイジがモンモランシーを助けた。 「ああ、ミスタ・グラモンなら一番奥の部屋ですよ」 「え?ですが前はここに………」 「なんでも『奥のほうが静かで落ち着く』だそうです それで今日の朝、部屋を移したんです」 「あ…、そういうことですか。ありがとうございます」 トテトテとした足どりでモンモランシーは 医務室の一番奥の扉に向かっていった。 こう見ると扉まで意外に距離があった。 音石がそんなモンモランシーを眺めていると モンモランシーはそのまま扉をノックし、個室の中へと入っていった。 するとルイズが急に音石の上着の袖を引っ張ってきた。 「なんだよ?」 「はいこれ、言われたとおり残りは返すわ」 手渡されたのは彼がルイズに託した金貨が入った袋だった。 音石が中身を確認すると、まだある程度の量は残っていた。 「はっ、意外だな」 「…なにがよ?」 「自分でもわかってるくせに聞くなよ、俺を試してんのかァ?」 使い魔の責任は主人の責任、主人の責任は使い魔の責任。 これがメイジと使い魔の間での鉄則だ。 音石が言う意外とは、 『使い魔のものは主人のもの』という理由で ルイズが金を没収してこなかったことに対してだ。 「フフフッ、でもルイズの気持ちなんとなくわかるわ、 わたしだって仮にオトイシが使い魔だったら同じことしそうだもの」 「どういうこった?」 「あなたがそれだけ『特別』だってことよ 使い魔らしくないって言ったほうが正しいかしら?」 「あー…、なるほどな」 音石が袋を懐に仕舞う。 『特別』―――――――、たしかに音石は『特別』だろう。 使い魔らしくないというのもそのまま的を射ている。 サモン・サーヴァントで前例のない召喚された人間。 『忠実』とまで主人に従わない使い魔らしくない使い魔。 不思議で奇妙な『特別』な能力・スタンドを扱う人間。 その上、そんなスタンド使いのなかでも あの『弓と矢』を手にしていた『特別』なスタンド使い。 ここまで特別だとかえって清々しいものだ。 その特別のおかげで、ルイズは本来の使い魔の扱い方を 特別な音石に同等に扱うのが滑稽に感じているから すんなりと金を返してくれたのだ。 (ん?まてよ………) 袋を懐に仕舞い終え、上着から手を出したときに 音石はあることに気がついた。 医務室専属メイジが口にしたとある名前だ。 「ミスタ・グラモン?おいおいおい、 それって俺が決闘で半殺しにしてやった小僧のことか? あの野郎、あれからだいぶ経ったのにまだ治ってねぇのかよ どれどれぇ、おれも様子を見に行ってみるか」 「あ、ちょっとオトイシッ!?」 急に奥へと向かっていった音石に ルイズは驚いて声をかけたが、 音石はそれを無視しモンモランシーの後を追った。 (ふっふっふっ、ベッドで安心して寝ているところに 寝かした理由の張本人が突然現れたら…………… ギヒヒッ、あいつ慌てふとめくぜ!) 早い話タチの悪い嫌がらせである。 22にもなるいい歳した大人なのに どうもこういう子供じみた嫌がらせをするのは どちらかというと音石本来の性格の悪さにあるのだろう。 【ガチャリ】「おらァ、入るぜ」 ノックもせず、モンモランシーが入っていった個室のドアを開ける。 部屋の構造は最初の個室と大して変わらず、 中央の壁際にベッドが置いてあり、窓がひとつ、 ドアの近くに花瓶がのった小さな机と椅子。床にしかれた絨毯。 どれもこれもが気品溢れる豪華な代物だった。 そしてその豪華なベッドの上で横になっている ギーシュが入ってきた音石を見た瞬間 顔を蒼白にし、全身がガタガタ震え始めた。 そしてその音石もギーシュが自分に完全に恐怖する様を見て 気分がいいのか、悪どい笑みを浮かべはじめる。 「ようクソガキ、思ったより元気そうじゃねぇか さすが魔法だな。あれだけぐちゃぐちゃにしてやったってのに たった数日でほとんど治ってるじゃねーかァ。ええおい?」 「き…き、き、き、君は!? な、な、なぜ!?き、き、きみがここにィ!!?」 ギーシュの体は魔法の治癒のおかげで音石の予想以上に回復していた。 半殺しにされた当初こそは、バイクで事故って間もない墳上裕也を 余裕で上回る包帯やギブスなどでの施されようだっただろうが 数日経った今となっては片手と片足を包帯でぶら下げているだけの この世界の治癒の魔法の凄さを思い知らされる傷の治りようである。 「ちょ、ちょっとオトイシさん!? 一体なんのつもり、きゃあっ!?」 モンモランシーが二人の間に割って出ようとしたが 音石がすかさずモンモランシーの腕につかみかかり 彼女を自分の傍に引き寄せ、彼女の耳元で話しかけた。 「べつになんもしやしねぇよモンモランシー ちょっとばかしからかってやるだけさ」 普段のモンモランシーならそれでも止めに入るだろうが 今の彼女の状況が彼女をそうさせないでいた。 その状況というのが………、 (か、顔が!……あわわ、か、か、顔が近い……) そう、モンモランシーの耳元で呟く必要があったため 二人の顔の距離が必要以上に接近しているのである。 それこそ、鼻息の生温かさまで感じ取れる程の ウェザー・リポートといい勝負であった。 しかもモンモランシーは異性にここまで顔を近づかれた経験など ギーシュのときですらなかったため、 モンモランシーの顔にどんどん赤みがかかっていく。 【ボォンッ!】 そしてとうとうその赤みが限界値に達したのか モンモランシーの頭の上で小さな噴火が起こり、 次に湯気が立ち昇り、彼女はそのまま硬直してしまった。 立ったまま赤面で硬直してしまったモンモランシーを通り過ぎ 音石はさらにギーシュのベッドに接近した。 「ぼ、ぼ、僕をどうするつもりだッ!?」 ギーシュはこのとき、 自分をこんな目に合わせた元凶に対する恐怖のせいで その元凶に対するモンモランシーの態度の異変に気付かないでいた。 まあその元凶本人もモンモランシーの態度に気付いちゃいないが…… 「さてなァ…、どうすると思うよ?」 ギーシュの恐怖からくる冷や汗と心臓の鼓動が増す、 普通なら平民が貴族に対して手を出すことは絶対的なタブーだ。 今だってそうだ、互いの承諾の元で行われる決闘とはワケが違う。 だが目の前の男は…………『例外』すぎる!! 平民でありながら自分を凌駕したチカラを使い、 平民でありながら自分をここまでボコボコにした例外者である。 (ま、まさか……こんな大怪我で動けない僕を さらにボコボコにする気かァーーッ!!?) ギーシュはあわてて枕元においてある 自分の杖の薔薇に手を伸ばした。 しかし虚しいことに、その伸ばした手は薔薇を掴むことはなかった。 なぜなら薔薇を掴む寸前に、音石に横取りされてしまったからである。 「おいおい、物騒なことすんなよなァ~~ ここは医療室だぜ?静かにしねぇと駄目じゃねぇか 俺みたいに、ここ担当してるメイジの女に怒られちまうぜ?」 希望が奪われたことにギーシュは泣きそうになった。 いや、これから泣かされるのだろう。 できればその程度であることを願った。 「へ、平民の君が貴族である僕に手を出したらどうなるか わかっているのか!?決闘のときは運良く問題にならなかったが 今回はそうはいかないぞ!?君がどれぐらい強くても 世界中のメイジが君を追い、間違いなく処刑するぞッ!?」 ギーシュの混乱した様を眺めながら 音石は内心でおおいに爆笑していた。 ギャハはァーーッ!なにもしねぇってのにバカが吠えてやがるぜ!! 音石からしてみればギーシュのその姿は滑稽でしかなかった。 包帯で手足を固定されているためベッドから動くことができず 頼みの綱であった杖も手元になく、ただ自分に威嚇するその姿、 動物園の檻の中で観客に威嚇する小動物、まさにそれである。 音石はそのまま、ギーシュの虚しい威嚇を眺めていると ある人物が部屋に入ってきた――――――。 「ちょっとオトイシ!やめときなさいよ さすがにギーシュに悪いわよ!」 治癒のおかげで完全に回復したルイズである。 音石は首だけ後ろに向け、それを確認する。 そのルイズに反応して硬直していたモンモランシーも 別の意味で帰ってきたようだ。 まあ、ルイズがそういうならここらあたりで勘弁してやるか 音石は満足そうに息を吐き、ギーシュから背を向けようとした しかしまさにその時だった。ギーシュが言葉を発したのは…… 「お、おいゼロのルイズ!! はやくこの使い魔をなんとかしてくれ!! 主人なら使い魔の管理ぐらいちゃんと【グイッ!】ひ、ひィッ!!?」 言葉の途中に音石は瞬発的にギーシュの胸倉を掴みかかった! そしてそのまま手足の包帯での固定もお構いなしに ギーシュを無理やり力尽くで自分のほうへと引き寄せた。 「おいテメェ……、マジで入院期間先延ばししてやろうか……?」 「う、……うう、…うああ…あ………」 とうとうギーシュの目から涙が溢れる。 その音石の行動にすぐさまルイズとモンモランシーが止めに入った。 「なにやってるのよオトイシ!?いくらなんでもやりすぎよッ!?」 「そ、そうよオトイシさん!さっきなにもしないって言ってたでしょう!?」 「てめぇらは黙ってろッ!!!」 【ビクゥッ!!】 音石の怒鳴り声にその部屋にいた全員がびびった! そこには先程までの年下の小僧に嫌がらせをする大人気ない姿ではなく、 なにか怒りに触れた悪鬼の如き、威圧ある姿があった。 「う、う………ゆ、許してくれ……」 涙で顔を濡らしたギーシュから謝罪の言葉が出る。 しかしその言葉は音石の怒りにさらに触れるだけだった。 「決闘の時もそんなこと言ってたなァ~~~~、ええおい? お前は謝ることしかできねぇのか?よぉ、どうなんだ小僧?」 「う………うう…それ以外なにをすれば……… お、お金が……う、う……ほしいんなら幾らでも払う……だ、だから……」 「このボケがァッ!! 金で治まるよーな問題なら俺もここまでマジになりゃしねぇよッ!! 俺が頭にきてんのはな~、てめぇがやるべきことに気付いていねぇことだッ!!」 胸倉を掴んでいた手を離し、ギーシュをベットに叩きつけた。 ギーシュは喉を押さえて咳き込みながら、 音石を恐る恐る見上げ、そして呟いた。 「やるべき……こと………?」 「……………………………」 音石は何も言わず黙り込んでいる。 聞かずとも自分で考えろ。そう示しているのだろう。 そしてギーシュは考える…………。 一体自分のなにが悪かったのだろう? 二股をしていたこと事態はあくまで自分の個人的な問題に過ぎない。 ならばその罪を無関係な給仕になすりつけたことだろうか? いや、近い気もするが一番の理由はそうではないような気もする。 考え方を客観的にしてみよう………、 一番重要なのは『目の前の男が何に対して反応した』かだ………。 ・ ・ ・ ・ ・ 『ゼロのルイズ』!! ギーシュは一気に理解した! 目の前の男はルイズを侮辱したことに怒りを表しているのだ! だが何故だ?使い魔としての本能がそうさせているのか? それとも彼の元からの性格がただのお人よしなのか? いいや、そんなものはどうでもいい!問題はそこではない!! 一番の問題は、自分がルイズを今まで侮辱し続けたことにある! 自分の誇り高き家柄、グラモン家の教訓はなんだ? 薔薇である女性を守る棘であることだろう!? それなのに自分は今まで彼女になにをしてきた!? 魔法が使えないから!?確かに彼女は魔法は使えない、 だがそれでも魔法が使えるようにと必死で努力している 事実彼女は筆記試験では常にトップだ。 ……………だからこそ尚更なのかもしれない。 魔法が使えない故に実技では常にルイズはゼロ点だ。 それに対して筆記試験では常にルイズはマン点だ。 それがものすごく気に入らなかったんだ………、 ゼロに嫉妬している自分に苛立ちを覚えてしまっていたのだ。 自分だけじゃない、ほとんどのクラスメイトがきっとそうだ。 だからみんなルイズを罵倒したのだ、見下していたのだ、 侮辱していたのだ、『ゼロのルイズ』と……………。 刹那、個室の外の廊下から足音が聞こえてきた。 このタイミングでやってくるような人物は大体予想できる。 扉が開かれる、予想通り医務室専属のメイジの女性だ。 「一体なんの騒ぎですか!?」 「え……あッ!?い、いえ!これは………その…事情がッ……」 ルイズは焦った、自分の使い魔がまた同じ生徒相手に しかも重症の状態で暴行を働こうとしたなどと 学院側に知られたら今度こそ退学になる恐れがあったからだ。 なんとか誤魔化そうとルイズが必死で思考を廻らせる。 「……いいえ、なんでもありませんよ」 ルイズは自分の耳に届いた声を疑った、 何を隠そう、その声は間違いなくギーシュの声だったのだ。 「お騒がせしてすみません 急に窓から虫が入ってきたので、つい慌ててしまって……」 「む、虫ですか?」 「ご心配なく、もう追い払いましたので…… 本当に申し訳ない、ご迷惑をお掛けしてしまい……」 それならいいんですが……、と言い残し そのメイジの女性は扉を閉め、部屋を後にしていった。 足音が遠退いていくにつれ静寂が部屋を支配する。 しかしその静寂のなか、ギーシュは深く息を吸い、目を閉じた。 そして静かに吸った息を吐き捨てると、開いた彼の目はルイズを見た。 「な、なによ……?」 「ルイズ……………すまなかった……」 「………え?」 足が動けないせいで ベットの上で横になっている状態の体を精一杯前に傾け ギーシュはルイズに向けて頭を下ろした。 「僕は、いままで君に酷い事をしてきた…… だが今更僕がなにを言ったところで、言い訳にしか感じないだろう いままで君に対しての侮辱してきたのは事実なんだからね…… だが一言、これだけは言わせて欲しい………、本当にすまなかった」 「ギーシュ………」 モンモランシーから彼の名が零れた………。 ルイズ自身もどこか複雑な表情を浮かべながら、 何を言うべきか考えているといったところだろう。 (ここまでくりゃあ、後はこいつら自身の問題だな せいぜい達者にやんな、時間はたっぷりあるんだからよ) 自慢の長髪をなびかせながら、音石は静かにその個室を後にした。 医務室を出る途中にキュルケたちに何があったのか質問されたが、 音石は「でけぇお邪魔虫が部屋を出て行ったんだよ」とだけ述べ 扉を開き、そして閉め、医務室を後にしていくのだった…………。
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ギーシュの奇妙な決闘 第二話 『決闘の顛末』 目を覚ましたら……目の前に、天井があった。 当たり前すぎて今更どうこう言う事柄ではないのだが、今まで見ていた夢の内容との落差に、ギーシュはどうしても目を白黒とさせてしまう。 反射的に、向かい合う天井をじっと見つめて観察する……少なくとも、彼自身の部屋ではないらしい。 鼻腔を刺激する薬品の匂いに、首だけを動かして辺りを見回して、初めてそこが何処で、自分がどういう状況に置かれていたかを認識した。 (医務室に、寝かせられているのか。僕は) それもそうだろうと、納得する。決闘が終わった時点で、ギーシュはかなりの重症を負っていたのだから。 医務室にいないほうが可笑しいのだ。目が冷めたら棺おけの中だった、なんていうのは笑えないジョークだ。 と、見回した拍子に、見慣れた金髪が視界の端に引っかかった。 「…………ギーシュ!」 視線を戻せば、医務室の入り口で呆然とギーシュのほうを見ていた。 モンモランシー・マルガリタ・ラ・フェール・ド・モンモランシは、ギーシュが医務室の住人になってからというもの、気が気でなかった。 当たり前といえば当たり前である。半ばギーシュの自業自得とはいえ、彼があの危険なゼロの使い魔と決闘をおっぱじめたのは、彼女の香水が原因のひとつなのだから。 二股をかけられたケティの方はすっぱりと諦めが付いたようだが、なんだかんだ言っても、モンモランシーはギーシュにまだまだ未練があった。 彼女自身、何故自分がここまでギーシュに引かれるのかはさっぱり分からない。 彼女の性格を考えると、二股かけた馬鹿男など、たとえ相手が公爵家でも御免こうむりたいと考えるだろう……『理由がつけられる恋なんて恋じゃない』とは、何処の恋愛小説の台詞だったか。 それに…… モンモランシーの脳裏に、ゼロの使い魔……あの危険な平民を倒したギーシュの相貌がよみがえる。 自分は、ギーシュが腹部を撃たれた瞬間、微動だに出来なかった。 モンモランシーのような机上で研究に明け暮れるタイプのメイジとは無縁の、余りにも剣呑な空気の飲み込まれてしまったのだ。 得体の知れないものに対する、命の危機に対する、人を殺せる男に対する、ありとあらゆる恐怖が彼女の両手足を縛り付けたのだ。 ヴェストリの広場に集まったギャラリー……彼らは、主であるルイズも含めた全員が、リンゴォの放つ異様な空気の飲み込まれてしまったのだ。 リンゴォは、そんなギャラリーたちを見て、鼻で笑う事すらしなかった。ただ、能面のような顔で辺りを見回し、言葉を紡いだのみである。 『友が倒されても武器すら取らない……か。貴様らは対応者ですらないようだな』 『対応者』 この言葉が何を意味するのか、モンモランシーには分からなかった。分からなかったが、リンゴォが自分達に対して『軽蔑』では済まされないほどの隔意を抱いた事はわかった。 『お、お前! 平民が貴族を殺して、ただで済むと思ってるのか!』 ギャラリーの仲の誰かが、リンゴォに向かって叫びをあげるが、モンモランシーはそれに賛同する気にはならなかった。 『これ』は、平民なんてカテゴリに分類されるものではない。貴族でもない。もっと、人間としての何かを超越した者だと、感じたから。 人間は、理解の出来ないもの得体の知れないものに恐怖を抱くものだ。そして、リンゴォのような思考形態を持つものは貴族にも平民にも存在しない。 それゆえに感じた違和感が、モンモランシーの認識を狂わせていた。 ギャラリーの叫びにも、リンゴォは表情一つ動かさずに、返した。 『この小僧のような輩が貴族だというのなら、何人かかってきても負ける気はしない』 ここにいたってようやく。 モンモランシーは、リンゴォがギーシュを撃ったという事実を受け入れ。 『…………うああああああああっ!!!!』 杖を振るった。 そして放たれた水の刃は寸分たがわずリンゴォの腹部を貫いた……筈だった。 『!?』 『やはり……貴様らは……』 貫いたはずなのに! 傷一つなくその場にたたずむリンゴォは、モンモランシーを睨みつけて、 『薄汚い『対応者』に過ぎないっ! 恋人が殺されてから呪文を唱えやがって! そこはオレの銃の射程の外だっ! 汚 ら わ し い ぞ っ ! 』 その後も、薄汚い発言で激昂した貴族達の魔法がリンゴォをうがつが。 『そんなのでオレを殺す事はできない!』 全てが無意味だった。 いくら攻撃してもまるで時が撒き戻ったかのように元に戻る。その場にいる全員が、攻撃の無意味を悟るのにさほど時間はかからなかった。 そんな現象を垣間見ていたからだろう。その後、リンゴォの能力……時を撒き戻すマンダムの事を聞かされたときに、奇妙なほど納得してしまったのは。 そして。 彼は、ギーシュ・ド・グラモンは立ち上がり、勝利した。 時を撒き戻せる、あの異質なゼロの使い魔に。 その時に負った腹部の傷は決して浅いものではなく、彼は医務室への直行を余儀なくされ……命は取り留めたものの、血が流れすぎたせいか、かれこれ一週間、目覚めなかった。 香水の二つ名を持つ水のメイジとはいえ、所詮は学生……彼女はギーシュのケガを癒すのに、何の寄与もすることが出来なかったのだ。 それが、戦いのきっかけになった香水の事と、リンゴォの『対応者』発現と合わせて、決して小さくない罪悪感の塊としてモンモラシーの胸の中にわだかまっている。 そんな理由から、彼女はギーシュが入院してから、花束を抱えて医務室を訪れ花瓶の花を差し替えることが日課になっていた。 治療に当たったメイジの話では、このまま一生目を覚まさない可能性もあるらしい…… 今日は香水も一緒に持ってきた。怪我が治るとかそういうのではなく、目覚めが良くなるように調合した奴だ。 (これで、目覚めてくれるといいんだけど) そんな事を考えながら、モンモランシーは医務室の扉を開けて……ギーシュの見開かれた瞳を見て、固まった。 (……!) 見開かれた瞳だけではない。ベッドの上に横たわったギーシュの首が、辺りを見回すようにして動いている。 間違いない。 目を覚ました。ギーシュが、死の淵から生還を遂げたのだ! 「ギーシュ!」 「やぁ……モンモランシー。君の美貌は相変わらずだね」 目覚めたてで本調子ではないのだろう。ギーシュは青い顔を無理やり笑顔の形にゆがめて、彼女の名を呼んだ。いつもどおりの薄っぺらなお世辞もおまけにつけて。 「ば、馬鹿ッ! 私の事より自分のことを心配しなさい!」 余りにもいつもどおりのギーシュの言葉が照れくさかったと同時に、青い顔からそれが吐き出されるのが痛々しくて、目線をそらす。 「そこなんだけどな、モンモランシー……僕は、アレから一体どうなったんだい? あいつは、リンゴォはどうした?」 「それは……あああ! 一寸待ってて! 今、先生を呼んでくるから!」 ギーシュが発した疑問を一旦放置して、モンモランシーは医務室から駆け出していく。 一刻も早く、このめでたいニュースを皆に知らせたかった。 ――ゼロのルイズが召還したのは平民じゃない、古代の悪魔だ。 こんな、荒唐無稽な噂話は、暗い歓喜と安心感をもって学院の生徒達に受け入れられ、事実として浸透していった。 メイジでもない平民に気おされ、あまつさえ手も足も出なかったという事実は、プライドの塊である貴族の子弟達には受け入れがたい事実であり、そんな事実を受け入れるぐらいなら、多少荒唐無稽でもリンゴォを悪魔だと思い込んだほうがいいというわけだ。 彼ら自身の安いプライドを守るための防衛本能が生み出した、無責任な噂だったが……誰も、その噂を正面きって否定することは出来なかった。 何せ、そのリンゴォ自身が…… 「消えた、だって!?」 「ええ」 驚愕の声を上げるギーシュに、モンモランシーは淡々と事実を告げた。 「あなたが気を失うと同時に、すぅっと消えちゃったのよ……」 死体が消える。 魔法の存在する世界でもそうそう起きるはずのない現象。それを実際に垣間見た事で、リンゴォ=悪魔という荒唐無稽な方程式が出来上がってしまったというわけだ。 「やれやれ、それで悪魔かい」 あの後。治療薬のメイジをつれて帰ってきたモンモランシーに、自分が気絶してる間の情報を聞いたのだが…… 悪魔の存在自体が否定されて久しいというのに、貴族の末端であるはずのギーシュもこの論説にはあきれ返った。 『あれ』が貴族なのか平民なのかはギーシュにも分からない。だが、ひとつだけ確実にいえることは。 ――リンゴォ・ロードアゲインは『人間』だった。 そういう、奇妙な実感だけがギーシュの胸に残っていた。 「悪魔かどうかはともかく、ゼロのルイズがとてつもない存在を呼び出したのは確かだって言うんで、今学園はてんやわんやよ」 「ミス・ヴァリエールが?」 「ええ」 メイジの実力は使い魔で決まる。コレは、使い古されすぎて誰が言い出したかも分からない古い標語であり、事実でもある。 確かに、あの男……リンゴォ・ロードアゲインの主はルイズであり、先の標語に乗っ取って判断するのなら、ルイズのメイジとしての実力がずば抜けたものであるという事になるのだろうが。 「使い魔がすぐに死んじゃったし、ルイズの監督不行き届きって事で、普通なら退学になる所よ……けれど、今回は使いまがアレだし、コレがルイズの実力なら、ひょっとしたらひょっとするかもって、使い魔の再召喚が行われたの。 けど」 「けどって……まさか、また」 はっとなるギーシュに、モンモランシーはコクリと頷いて。 「そ。『また』平民の使い魔を呼び出したのよ、あの子……今度も、変な能力持ってるみたいで」 「ま、まさか時間を止めるとかかい!?」 「ううん。本人もよくわかってないみたいよ」 自分の脳裏に閃いたえげつない能力をそのまま口に出すギーシュ。モンモラシーの返答は先ほどとは真逆であり、首を左右に振った。 「あなたと前の使い魔の決闘みたいなことが、今回の使い魔でも起きたのよ。メイジと平民の決闘って形でね」 モンモランシーは語らなかったが、リンゴォの存在が強大な悪魔という形でメイジたちの間で認識される過程で、それを打ち倒したギーシュの存在も、比例して大きな虚像を映し出していったのだ。 すなわち、悪魔殺しの将来有望なメイジとして、ギーシュ・ド・グラモンの名は学園中に広まったのである。 無論のこと、コレはリンゴォの存在が誤認された恩恵を受けた虚像であり、実状を伴うものではなかった。 今回新しい使い魔に挑んだメイジは、そんなギーシュの英雄的扱いの尻馬に乗ろうとした愚か者であった。 そして結果は…… 「それで、その使い魔に挑んだメイジはどうなったんだい? と、いうか……一体誰がミス・ヴァリエールの使い魔に決闘を?」 「……『黒土』のボーンナムよ」 「……あー」 モンモランシーが口にした名前に、ギーシュはすぐさま、使い魔が無事でない事を確信した。勝敗はどーあれ、ただですむ道理がない。 『黒土』のボーンナム。メイジとしてのレベルはギーシュと同ランクだが、比較的友人の多いギーシュと違い、彼には全く友人がいなかった。 そこまで人格的に問題があるわけではないというのに。何故か? 簡単な話だ。彼はどんなに横暴な貴族でも眉をひそめてしまうほどの、徹底したサディストなのである。メイドを殴る蹴るなど日常茶飯事。 ある時などは、粗相を働いたメイドに頭から煮えたぎった油をぶっ掛けて、のた打ち回る姿をげらげら笑いながら眺めていたほどだ。 彼の暴力に晒された平民達を、オールド・オスマンは丁重に治療し、暇を出して田舎に帰らせたが……今日に至るまで誰一人として、学院に戻ってきたことはない。 いかに平民相手の所業とはいえ、周りの貴族はその行いに大いに引き、彼は学園内で孤立した。その寂しさをメイドで紛らわせようとするものだから……最悪の循環である。 メイド達の貴族に対する感情を、恐怖一色に染め上げている元凶であった。 かく言うギーシュ自身も、平民とはいえ女性を傷つけて悦ぶようなボーンナムに、軽蔑と嘲笑の混じった濃色の嫌悪感を抱いていた。 「オールド・オスマンに厳重注意を受けておとなしくなったと聞いたけれど……」 「今日、早速やらかしたのよ。あなたも絡んだあのシエスタって娘の手に、ナイフを付きたてて、その上から靴で踏みにじってグリグリ」 「それはまた……それを、ミスヴァリエールの使い魔がかばったというわけか」 「そ。あなたと全く同じねギーシュ」 「うぐっ」 ジト目でにらまれ、言葉に詰まる。 まあ、確かに……ギーシュがリンゴォに挑んだ理由も、『メイドのせいで二股がばれて、逆切れで八つ当たりしようとした』というとてつもなく情けないものだったから、言い返せるはずなどありはしない。 ……ギーシュの名誉のために言っておくと、彼はあの時メイドを傷つけようとする意思は全くなかった。 多少脅しつけてやろうとしただけで、本当に傷つけようなどとは、全く思っていなかったのである。 実際には、メイドに難癖つけたボーンナムを使い魔がかばい、それを挑発するために行った凶行なのだが。 まあ、そんな事はどうでもよろしい。 件のボーンナムは、黒土の二つ名が示すとおり、土のドットメイジだ。扱う魔法の性質は、ギーシュとよく似ているだろう。 扱う杖はバラの造花だし、ギーシュのワルキューレとよく似た土のゴーレムを5体まで同時に制御できる。 ボーンナム自身の性癖を反映し相手を殺そうとせず、なぶり殺しにするような陰険な戦法を使う。 余談だが、ボーンナムがバラの造花を杖にするのは、単に『茨が痛そうだから』にすぎない。 メイジとしては下から数えたほうが早いのだろうが、平民からすれば中々に手ごわい相手だというべきだろう。 しかも、戦い方からして、相手の平民は無傷では済むまい。 「それで、勝ったのはどっちなんだい?」 「そこは、あなたとは真反対。使い魔のほうが勝ったわ」 「あらら」 ギーシュはプライドを打ち崩されたであろう旧友のために、コンマ3秒だけ黙祷し、すぐさま忘れた。 ギーシュにとって嫌いな野郎の扱いなどこんなもんだ。 「使い魔の使った能力が、よく分からないっていうのは……」 「うん。使い魔のルーンが光ったと思ったら、いきなり動きが良くなったのよ。あれは、実力を隠してたとかそういうレベルじゃなかったわね。 もっと根源的な力の上昇というか」 「使い魔のルーン?」 「コルベール先生の話だと、とても珍しいルーンらしいけど……」 (そういえば、リンゴォのルーンも変わっていたな) モンモランシーの説明から、ふとあの決闘者の左手を思い浮かべるギーシュ。そもそもルーン文字ですらない文字列だった気がするが。 「後は、剣でボーンナムをざっくり」 「ざっくりって……それじゃ、あいつもこの部屋にいるのかい?」 反射的に嫌な顔をして、あたりを見回すギーシュ。あんな奴と同じ病室で寝るのなんて御免だというのが、彼の正直な気持ちだった。 モンモランシーがざっくりと表現するような傷だ。医務室の厄介になっていることは確実だろう。 「あ。大丈夫よ。今回の一件で退学にさせられたから、今頃は馬車の中で唸ってるんじゃあないかしら」 「退学?」 「流石のオールド・オスマンも今回ばかりはね」 厳重注意を受けたくせに騒ぎを起こしたのだ。堪忍袋の緒が切れたのだろう。 大人数が目撃している前での凶行だったために、弁明の余地すら与えられずに即決だった。 ボーンナムの父親はごくごく全うな性癖の人間であるため、このまま地方の片隅で強制的に隠棲させられ、次男が家督を継ぐだろうというのが、大方の見解である。 「本当はあなたも勝手に決闘したってことで、謹慎なりなんなり罰則を受けるはずだったんだけど。 オールド・オスマンがケガが罰則になるからこれ以上の罰は不要だ、ってかばってくれたのよ」 まさに外道! なボーンナムの行いの前に、ギーシュの起こした問題行動がかすんでしまったというのも大きかったのだろう。 兎に角、ギーシュは今回の決闘騒ぎにおいて、一切のペナルティを受けることはなくなったのである。 「――終わりましたよ」 二人の会話を華麗に聞き流し、ギーシュの傷を診察していたメイジが、笑顔で二人に告げる。 「もう大丈夫でしょう。傷口は塞がっているし、血もあらかた戻ったようだ。激しい運動は出来ませんが、普通に授業を受けたり歩いたりするぐらいなら」 「本当ですか?」 「ええ。ただし、激しい運動や長時間の運動は、禁止ですよ?」 「はい」 (おや) 意外と聞き分けのいいギーシュの姿を見て、人のいい事で知られるメイジは目を丸くした。 こういう風にやんわりと言い聞かせても、何らかの形で逆らうのが、貴族の師弟というものだからだ。 彼は確かにメイジだが、オールド・オスマンの秘書と同じく、貴族位を剥奪された没落貴族の出であるため、そんな彼を敬うものは全くなかったりするのである。 実際同じように治療し、治療が終わり次第追い出されたボーンナムは、医師の注意を嘲笑でもって聞き流したものだ。 てっきり、ギーシュもそう応えるのかと思ったが。 (決闘が、いい方向に影響を与えましたかね) 成長する孫を眺めるような心境で、老メイジはギーシュを見やった。実際、彼にとってこの学院の生徒達など、全員が孫のような世代だ。 「さて、そうと決まったら」 「? 何よ。行くところが決まってるの?」 いきなりベッドの上に上体を起こすギーシュに、モンモランシーはとがめるような視線を向ける。 それに対して彼は、ニヒルに笑い…… 「ああ。新しい『ゼロの使い魔』に会いに行きたいんだ。案内してくれるかい? 愛しのモンモランシー」 自分の体を覆うシーツを、バッと跳ね上げた。 さて、読者の皆様。 皆様方はこう思っていませんか? 『こんなギーシュ格好良すぎるYO!』『こんなのギーシュじゃないYO!』 ええ、そんな事は筆者も分かってます。分かってますとも。 あのギーシュが、このまま格好いいまま終わるはずがないのです。 シーツを跳ね除けたギーシュの周りに、バラの花びらが舞っていた。どーせ、演出でギーシュが放ったものだろう。 それに包まれて、彼は雄雄しくベッドの上に仁王立ちしている……彼としては格好をつけたつもりなのだろう。 だが、知らないというひとつの罪が、その行動を致命的なものにしていた。 今の彼の格好は! 包 帯 の み の 全 裸 ! 彼は知らなかった。血まみれになってしまった自分の服が、治療の際に全て破棄されていることを。 彼は知らなかった。老メイジの『治療の際に一々服脱がせると腰がいたい』とゆーしょーもない理由で自分がそのままの状態で治療を受けていたことを。 シーツをバッと引き上げて。バラの中、ほぼ全裸で屹立している素肌に包帯のみの男。 極め付けに、朝立ちと呼ばれる現象がギーシュの股間を襲っており、そちらも『屹立』している。 どう見ても変態です本当にありがとうございました。 一瞬にして、ホワイトアルバムよりも早く真っ白に凍りつく医務室の風景。 しかも間の悪いことに、屹立したギーシュのものは、モンモランシーの目と鼻の先でその存在を主張していた。 モンモランシーは勇者だった。 ギーシュのかっこつけによって引き起こされた、悲劇的な光景を前に硬直していたのは一瞬。 すぐさま再起動を果たした彼女は、 「……こ、こぉんの! ド変態!!!!」 ず ご ぉ っ ! 目の前のモノに拳を叩き込んだ! 「!!?!?!!?!?!!!???」 魂も月までぶっ飛ぶこの衝撃に、ギーシュは声にもならない悲鳴を上げ。 「ば、ばかぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 あまりにおぞましい光景と、おぞましいものを殴ってしまったショックで、モンモランシーは目幅涙流しながら走り出し。 (……まず最初に、着替えさせるべきだったかな) 男の急所にきついのをぶち込まれたギーシュに同情しつつ、老医師はシーツをかけなおし。白目むいて気絶するギーシュを再び寝かせる。 目を覚ましたはずのギーシュの入院が、何ゆえ一日伸びたのか。 その理由を知っているはずの三人は、あるものは青ざめ、あるものは赤くなり、あるものは飄々として、語ろうとしなかった。
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「…そう。わかったわ。今日はウスワイヤで休みなさい。明日はちゃんと時間どおりに学校に行くこと。闊歩君は様子を見てからね。」 亜音はそういい、お休み、と一言言って電話を切った。 最近色んな事が起こり過ぎている気がする。 まして、ヴァイスからかくまうつもりで保護した闊歩が一度『死ぬ』とは思ってもみなかった。 「原因が何か調べる必要がありそうね。まぁ、今回はガルダだからホウオウ絡みだろうけど。」 亜音は手早く店じまいを終え、上の階に昇ろうとした。 その時、上から慌ててノアが降りてきた。 「姉さん!いるか!?」 「わわっ、どうした、乃亜?」 「乃流の様子が…。とにかく来てくれ!」 半ばノアに引っぱられながら亜音はドアを開けた。 そこにいたのはノルン…のはずだった。 「…!?」 亜音はそれを見るなり驚き、絶句した。 今の中央で茫然と立ち尽くす男。 その姿はノアと瓜二つで、髪の癖が逆なだけだった。 「…ノルン、あんた…。」 亜音の声に男は気付き、おもむろに此方を向くと力なく微笑んだ。 「…姉さん…。」 「あんた、その姿どうしたの!?」 「…すみません、姉さん。疲れたので寝てもいいですか?」 亜音の質問が聞こえなかったのか、ノルンはふらふらと自室に戻って行った。 「…乃流…。」 姉は止めず、静かに彼を見ていた。 「…ノルンの奴、どうしたんだ?」 「多分、相当響いたんじゃないかな。暫く部屋から出てこなかったし。」 「あいつが『戻ってる』ってことは、今はろくに能力も使えないほど傷ついているんだろうな。」 ノアは以前見た幼いころの写真を思い出しながら言った。 あの写真に写る自分とノルンは瓜二つだった。聞いたところ、一卵性双生児らしい。 ということは、成長しても姿は変わらない筈だ。 今までは自分の姿が分からなくなっていたノルンが自らの容姿を作っていた。 しかしそれが自分とそっくりになっている。 鏡がそこにあったのかと最初疑ったほどだ。 ということは、今完全に能力が使えていない状態になる。 「…乃亜、明日は学校休んで。」 「姉さん?」 「乃流の様子を見ておいてほしい。あのまま放っておくわけにはいかない。」 「…分かった。」 乃亜は頷く。亜音はそれをみると、ポケットから何かを取り出した。 「それと、乃流にこれ、渡しておいて。」 「これは?」 「乃流は元々弱視でね。能力を使えばろくに見えてないはずだろうからね。」 それは奇妙な偶然か 乃亜は眼鏡を受け取り、部屋へと入って行った。
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たんたんたたたん、たたたん、たたたん、 「ようこそ、ハルケギニア――魔法と剣が交わる、ファンタジーの世界へ」 たんたんたたたん、たたたん、たたたん、 「この世界の法則は、私たちの知るそれとは余りに異なっています」 たーんたたーん、たんたんたんたたたんたんたん、 「彼女らからすれば、私たちの世界こそがまさにファンタジーなのでしょう」 たんたんたんたんたたたんたん、 「果たして、どちらの世界が正しいのか――決して、そんな疑問を持ってはいけません」 たんたんたんたたたんたんたん、 「答えの無い問い。その果てに行き着く先は――現実でも幻想でもない、 『奇妙な世界』に他ならないからです」 たんたんたんたんたんたたたんたんたん、 「ゲートをくぐった先。そこが、 恋と冒険に満ち溢れた素晴らしい世界である――そんな保障は、どこにもありません」 たんたんたたたん、たたたん、たたたん、 「おや。今も一人――可愛い可愛い少女が、『奇妙な世界』へと、迷い込んでしまったようです」 たんたんたたたん、たたたん、たたたん、 「ほら。あなたのことですよ」 だん。たんたんた、たららん。 ――ハルケギニアにも奇妙な物語―― 「なんなのよ、もう」 ルイズは自室の寝台の上、枕に顔を沈めていた。 今にも泣き出してしまいそうな、弱々しい声で呟く。 「使い魔が、居なくなっちゃうなんて」 使い魔召喚の儀式。 一生のパートナーとなる使い魔を選ぶそれは、二年次への進級試験というだけでない、 メイジにとって極めて重大な意味を持つものである。 それまで魔法に成功したことの無いルイズは、この儀式のために、それはもう頑張った。 とにかく頑張った。 その努力っぷりたるや、天敵であるツェルプストー家の同級生が 思わず応援してしまうほどのものであったという。 文字通り寝食を惜しみ、心身を削って、 ルイズは死に物狂いでこの儀式のために準備をしていた。 その成果、と言うべきなのか。 結論を言えば、使い魔召喚の儀式は成功した。 その瞬間、準備を手伝った級友たちの歓声と砂埃に包まれながら、ルイズは胸を高鳴らせる。 やった。ついにやったのだ。もう誰にも『ゼロ』なんて呼ばせない。 だって自分は、魔法を――そう! 魔法を成功させたのだから! どんな使い魔なのだろう。何せこの自分の使い魔なのだ、強く、美しく、気高くて、 そう、グリフォンとか、マンティコアとか、ケルベロスとか、ユニコーンとか、 ももも、もしかしてドラゴン――韻竜とか! いや、いい。どんな使い魔だろうといい。自分の召喚に応じてくれたのだ、 たとえそれがオケラだって、ミミズだって、モグラだって――流石にちょっと嫌だけど、 でもどんな使い魔でも、ぜったいぜったい大事にしよう。 晴れゆく砂埃の向こうに姿を現したのは、黒い礼服に身を包み、 奇妙な黒い眼鏡を着けた中年男性だった。 この刹那、確かにルイズの時は止まった。 そしてあろうことか、その中年男性は何やらわけのわからないことを勝手に喋り倒した挙句、 居なくなってしまったのである。 そこに居合わせた誰もが注目していたにも関わらず、気がついたら『居なくなっていた』。 去ったのでも、消えたのでもなく、ただ『居なくなった』としか形容出来ない。 それは、まさしく『奇妙な』現象だった。 「…………」 ルイズは現状を確認し、ますますその鬱っぷりを加速させていた。 そう。彼女は『サモン・サーヴァント』にこそ成功していたが、 使い魔召喚儀式の重要なもう一段階を――『コントラクト・サーヴァント』を達成出来ずに居る。 使い魔が居なけりゃ、使い魔にキスなんぞ出来る筈も無い。 当たり前の話だ。 ……そんな前代未聞の事例を前に、学院は一つの選択を迫られる。 ルイズを進級させるか。 それとも――ダブらせるかだ。 ダブり。 そのおぞましい単語を思い浮かべただけで、ルイズは首を絞められるような気分になる。 もしも、仮定、仮の話として、万が一ダブってしまったら。 ……両親や姉達は、どういった反応をするだろう。 元々、魔法を使えない落ちこぼれだった自分。 だ、ダブりなんかしたら。 ……考えることすら脳が拒否した。 「…………」 空腹と乾きを自覚する。わずかな水以外、丸一日何も口にしていない。 ルイズの処遇を決めるのにも、あと数日は必要だろう。 それまで、ここでひたすらじっとしているわけにもいかない。 ……厨房に行って、何か貰ってこようか。 ルイズは重い体を引きずり、部屋を出た。 「あ」 「ん?」 部屋を出たところで、ばったりキュルケと対面してしまった。 ルイズは、自分の顔が醜く歪むのを自覚する。 ――こんな時に、ツェルプストーの娘と顔をあわせてしまうなんて。 何を言われるか、予想はつく。 「ルイズ! やっと出てきたのね。ちょうど今、呼びに行こうと思ってたのよ」 「……何よ」 妙に明るい様子のキュルケ。それはそうだろう、とルイズは思う。 天敵のヴァリエールがこんな無様を晒しているのだ。 ツェルプストーの娘にとって、こんな嬉しいこともないだろう。 大体、大して親しくもない自分を呼び出してどうするつもりだったのか。 サラマンダーでも見せ付けるつもりか。 「まったく、ずっと部屋に篭って何をしてたの? 聞いたわよ、あの話」 ほら、やっぱり。 やたらと親しげに話しかけてくるキュルケに、ルイズは顔をしかめる。 どうせ、自分の使い魔を自慢して、バカにしてくるに違いな―― 「あんた、『くぎみやりえ』なんですってね!」 「……は?」 ルイズの目が点になった。 なにそれ。 「まったくもー、それっぽいとは思ってたけど、まさか本当にそうだとはねー」 ルイズの肩をバシバシ叩くキュルケ。いてーよ。馴れ馴れしいんだよ。 「ほら、行くわよ。ギーシュたちが今、宴会の準備してるから」 「……え? 宴会?」 混乱するルイズ。 「なんで?」 「決まってるじゃない。あんたが、『くぎみやりえ』な記念よ」 「な、何それ?」 そうだ。なによそれ。その『くぎみやりえ』って何だ。 キュルケはニヤニヤしながら答える。 「またまた、惚けちゃって。ほら、とっとと行くわよ」 「ちょ、惚けてなんか……!」 「ほらほら、歩く歩く!」 キュルケに背中を押され、食堂の方に誘導される。 「だだ、だからその『くぎみやりえ』って何なのよ!」 「もー、バレバレなんだから惚けないの」 結局、『くぎみやりえ』とは何なのか。わからないまま食堂に着く。 扉を開けると、 「「「ルイズ、ばんざあああああああああああいい!」」」 歓声に包まれ、ルイズは目を丸くした。 タバサ、ギーシュ、モンモランシー、マルコリヌ……クラスメイトはもちろん全員、 他の顔も知らないような奴さえ集まっている。百人以上は居るようだ。 「やぁルイズ、まさか君が『くぎみやりえ』だったとはね!」 「……聞いてみれば明らか。今まで気づかなかった方が『奇妙』」 「とにかくこっち座れよ、ルイズ!」 「な……」 呆然とするルイズを数人があっという間に取り囲み、中心に座らせる。 食卓には、豪勢な食事や高価なワインなど。普段の食事よりも更に豪華なものが並んでいた。 「な、何よこれ一体! 何なの!」 ギーシュが薔薇を振り、ポージングしながら答える。 「何、って……。祝賀会に決まっているじゃないか」 「何の!?」 「君が『くぎみやりえ』だったことがわかったんだ。当たり前じゃないか!」 わけが、わから、ない。 「だからその、ああああもう、わけわかんない! 何なのよあんたら!」 一人錯乱するルイズ。 その声を聞いて、その場に居る全員がどよめく。 「おお、『くぎみやりえ』だ……」 「『くぎみやりえ』ね……」 「なんという『くぎみやりえ』……」 「これぞ『くぎみやりえ』、ツンデレの極地、ツンデレの行き着く終焉にして究極!」 「く、くぎゅうううううううううう!」 「くぎゅうううううううううううううう! もっと、もっと罵倒を!」 だから、本当に、わけが、わから、ない。 「だから――」 「さぁ、乾杯だ! 僕たちの友、ルイズと!」 ギーシュが杯を高く捧げる。ルイズもキュルケに杯を無理やり持たされてしまった。 「「「その『くぎみやりえ』に!」」」 他の者たちが続いて唱和。そして、 「「「かんぱあああああああああああああああああああいい!」」」 その後のことは、ルイズの記憶には残っていない。 窓から差し込む朝日で目を覚ますと、そこは自室の寝台の上だった。 「う……」 軽く二日酔い気味。頭が重い。飲みすぎたのか。昨日は―― 「っ!」 そこで昨日の出来事を思い出す。そうだ。結局あのわけのわからない宴会はなんだったんだ。 一体、 「『くぎみやりえ』ってなんなの?」 一人呟く。もちろん、返事は無い。 ……取り敢えず、部屋から出て誰かに問いただすべきよね。 身なりを整え、部屋を出る。 廊下を足早に歩き、誰か居ないかと周りを見回していると―― 「きゃっ!」 「あっ!」 前方への注意がそれてしまっていたのか。誰かにぶつかってしまった。 慌てて倒れた黒髪のメイドを抱き起こす。 「だ、大丈夫かしら? 悪いわね、ちょっと考え事をしてて」 「た、大変申し訳ありません! 私の方こそ不注意で――!」 恐縮していたメイドがルイズを見て、何かに気づいたような顔になった。 「失礼ですが、ミス・ヴァリエールでしょうか?」 「? そうだけど?」 「ちょうど今、部屋に伺おうと思っていたんです。 学院長がお呼びですので、学院長室までお願いします」 「学院長が?」 学院長に呼び出される用事なんて―― 「あ」 あった。思いっきりあった。昨日の出来事ですっかり忘れてしまっていたが、 間違いなく、あの件だろう。 口に出すのも、頭に思い浮かべるのも忌まわしいあの件。 つまり、だ、だだ、ダブり。 ……ルイズの処遇をどうするのか、決定したようだ。 「……だ、大丈夫ですか?」 急に顔を真っ青に染めたルイズを見て、心配そうに声をあっけるメイド。 「だだだだだ、大丈夫よ。ありがとう。……すぐ行くわ」 ややふらつきながら歩き出すルイズ。 それを不思議そうに見送りながら、メイドはポツリと漏らした。 「……すごい。本当にあの人、『くぎみやりえ』だ」 「…………」 「…………」 気まずい。 「…………」 「…………」 学院長室に入ると、そこにはオスマンだけでなく、 ギトーやコルベール……主要な教員全員が集まっていた。 オスマンも誰も、何一つ喋らず。沈黙が部屋を支配している。 「…………」 「…………」 ルイズが重い空気に耐え切れず、顔をうつむける。 ……やはり、留年なのか。ダブりか。そうなのか。 勇気を振り絞り、口を開こうとした瞬間。 オスマンの言葉が、重く響く。 「ふむ……ミス・ヴァリエール」 「……はい」 何故か、どよめきが起こった。 ルイズは覚悟を決め、顔を上げる。 「今からわしが言う言葉を、そのまま繰り返しなさい」 「……はい?」 なに? 「そのまま、繰り返すんじゃ。いいかの?」 「は、はい。わかりましたけど……」 なんだ。何をやらせるつもりだ。処分を言い渡すんじゃないのか。 不意に、猛烈に嫌な予感がルイズを襲った。 そして、それは的中する。 「では、ゆくぞ。……『べ、べつに、あんたのために作ってあげたんじゃないからね!』」 「……………………べ、べつに、あんたのために作ってあげたんじゃないからね!」 再びどよめく室内。 ルイズの脳裏を駆け巡る、昨夜の宴会の記憶。 「『か、勘違いしないでよね! あ、あんたのことなんか何とも思ってないんだから!』」 「……………………か、勘違いしないでよね! あ、あんたのことなんか何とも思ってないんだから!」 まさか。 「『ぎ、義理よ義理! ざ、材料が余ったし、誰にも貰えないあんたが哀れだったから、 ほんと、それだけなんだから!』」 「……………………ぎ、義理よ義理! ざ、材料が余ったし、誰にも貰えないあんたが哀れだったから、ほんと、それだけなんだから!」 「これは……」 「ややぎこちなさはあるが……」 「なんという……なんというツンデレ……」 「テンプレ通りの陳腐さ……だがそれがいいっ……!」 「く、くぎゅうううううううううううう!」 「くぎゅううううううううううう! 罵って! 変態って罵って!」 まさか、また、なのか。またなのか。 ルイズはオスマンの顔を何気なく見て、目をひん剥く。 泣いてる! こいつ泣いてるよ! 「まさか、生きているうちにこれほどのツンデレに会えるとはの……長生きはするもんじゃ」 「オールド・オスマン! 私は今、猛烈に感動しています……!」 マジ泣きだ! み、ミスタ・コルベールもマジ泣きだ! なんだこいつら! 「ミス・ヴァリエール。……そなたは、『くぎみやりえ』なのだな」 「だから、その、『くぎみやりえ』? っていったい――」 「わかっておる。言わずとも全てわかっておる。おめでとう。本当におめでとう」 ルイズの胸には殺意。 わかってねぇだろクソジジイ。殺すぞ。 「本当におめでとう。そして、ありがとう。もう、戻って宜しい」 「あ、あの、私の進級の件は……?」 「んなもん決定じゃ。進級に決まっておる」 嘘ぉ! 「ほほ、本当ですか、オールド・オスマン……!」 「当たり前じゃ。一体誰が、『くぎみやりえ』を留年なぞさせるものかっ!」 オスマンの言葉に、揃ってうんうんと頷く教師陣。 え、そのおかげなの? 「ご苦労じゃった。戻りなさい」 閉められた学院長室の扉を背に、息を吐くルイズ。 呟く。 「だから、『くぎみやりえ』って一体なんなのよ……!」 その夜は、学院中の全員が宴会に参加した。 翌日。 もはや状況は完全にカオス化していた。 「ミス・ヴァリエール! アンリエッタ女王とマザリーニ卿が、あなたに会うため学院にいらっしゃるようです! あと数時間で到着するとのことで――」 「やぁ愛しいルイズ! 僕だよ、ワルドだ! きみが『くぎみやりえ』だと聞いて、飛んできたよ! さぁ早速今すぐ婚姻を――」 「ジュール・ド・モット伯爵が、君に会いに――」 「アルビオンのウェールズ皇太子が――」 「クロムウェル大司教――」 「が、ガリアのジョゼフ一世から親書が――」 「ジェリオ・チェザーレと申します。聖エイジス二十三世の使いで――」 「ゲルマニアのアルブレヒト三世が――」 「え、エルフ? エルフだって!?」 大騒ぎの渦中の中、呆然と立つルイズ。 何なの、一昨日からのこの騒ぎ。 『くぎみやりえ』ってなに。 一体、この『奇妙』な出来事は――なんなの。 「ああ、ああ、ルイズ、ルイズ・フランソワーズ、私の懐かしいお友達! どうかその声を聞かせてちょうだい! そう、『くぎみやりえ』を!」 「ルイズ、僕のルイズ、さぁこの婚姻届にサインを、そして『くぎみやりえ』を――」 ルイズは、学院の中庭、中心に立ち尽くす。 それに群がる大勢の人々。 次々に到着する馬車、グリフォン、ヒッポグリフ――。 混乱の中、口にされる言葉は揃いも揃ってひとつ。 『くぎみやりえ』『くぎみやりえ』『くぎみやりえ』――。 キレた。 しらない。もうしらない。何が起きようがかまうものか。 差し出された婚姻届けを地面に叩きつけ、差し出される手をはねのけ、 群がる人々を押しのけ、ルイズは絶叫! 「だから! 『くぎみやりえ』って何なのよ!! もおおおおおおおおおおおおおおおお!」 世界が、止まった。 キュルケが呆然としてこっちを見ている。 タバサの本が手からずり落ちた。 ギーシュの口に咥えていた薔薇が地に落ちた。 モンモランシーが香水の瓶を取り落とす。 マルコリヌが食いかけのピザを口から離す。 アンリエッタの王冠は頭からずり落ちそうで、ワルドの帽子の羽がはらりと宙を舞う。 そこに居る全員の頬を風が撫ぜ、草木は緩やかに揺れた。 雲は流れ、光が差し込み、鮮烈な緑を映し出す。 ルイズの荒い息だけが、そこに響いていた。 ルイズは、退学になった。